テキヤ殺すにゃ刃物は要らぬ、雨の三日も降ればいい。
表題は、フーテンの寅さんの台詞。
やくみつる殺すにゃ刃物は入らぬ、「統計数学」と言えばいい。
「人間発見 漫画家 やくみつるさん 我こそは現代の『瓦版』」(日本経済新聞11月20日夕刊)
大学4年になり、就職活動の時期になります。当時、「インベーダーゲーム」など電子ゲームのはしりで、ゲームクリエーターの求人もぼちぼちありましたが、漫研のメンバーは出版社に就職を希望する者が多かった。私も大手出版社を受けたのですが、まったく引っかかりません。「これは留年だな」と1科目意図的に落とすことにしました。「統計数学」という科目で、試験の時、答案用紙に「私は数学が苦手だから早稲田に来たのに、統計数学などわかるはずがない」と書いて、提出しました。
ところが、青春出版社から年の瀬に突然、内定の通知が来たんです。もうパニックですよ。留年するつもりでわざと単位を落としているのですからね。この時だけは、不本意ながら奥の手を使いました。ゼミの担当教授は学部の古参教授で、統計数学の先生は若い講師でした。教授に頼み込んで圧力をかけてもらい、なんとか単位をもらうことができました。
同日の読売新聞から。
「頑張る姿に情が…」教諭が答案改ざん、正答に
岐阜県各務原市立蘇原中学校で、2年生の数学を担当する男性教諭(29)が中間テストの生徒43人の答案を改ざんしていたことが20日わかった。
誤答を正答とし、点数を上乗せしていた。男性教諭は「頑張っている生徒の姿を見て情がわいた」と事実を認めているという。
…
返却された答案に疑問を感じた一部生徒が申し出て発覚。同校は19日に臨時の全校集会を行って生徒全員に謝罪した。県教委は男性教諭の処分を検討している。
早稲田大学は、全学集会を行って、学生全員に謝罪するだろうか?
ゼミ担当の古参教授は、講師に対するパワーハラスメントに関して処分が検討されるのだろうか?
そうとはならないだろう。
それでも、敢えて思う。
やくみつるは、断罪されるかもしれないだけ、まだマシである。
特定秘密保護法案の修正協議。特定秘密の指定期間を原則「最長60年」とすることなどで合意した国会議員のことを、特定秘密なるものの当事者を断罪したくても、殺したくても、その時には関係者はとっくにあの世である。
アホくさい。
本当に恐れるべきは、特定秘密保護法の下で死に追いやられる人間が生じうるという現実(ひいては、派兵、徴兵、という大量殺人も。)。求められるのは、法律という権力に対する想像力。