「日本の大学で統計学科があるのは1つだけ」

 日経朝刊、広告面から。

基調講演2 データに基づく意思決定に向けて
分析と決定の溝を埋める
情報・システム研究機構 統計数理研究所
副所長 教授 丸山宏


むしろ、データの分析結果を意思決定にどう結びつけるかが問われる。相関関係を因果関係と思い込んでしまうことがよくある。データを持っていても、それを意思決定にうまく使えていないケースも見られる

ビッグデータを活用する際の問題の一つは人材にある。深く分析できる人の数を調査した結果によると、日本は米国、中国、インドなどと比べて見劣りする。

「データ分析は現場の話だ」と誤解している経営者が多い。経験と勘の世界からデータの世界へ転換させるのは、あくまで経営者であり、非常にエネルギーを要することだと思う。

(太赤字は筆者による)

 「日本よりも、人口が数倍の米中印に比べてどうする」という声が聞こえてきかねないが、問題は、人口比ではなく、本当に、日本における統計学は貧困なのである。

オピニオン
一線越えたか電脳の侵食
人間の職場どう確保? 本社コラムニスト 平田育夫

 そこで、高付加価値の仕事ができる人を増やすため教育の充実が重要になる。例えばビッグデータ(大量情報)の解析でも欠かせないのが統計学。「日本の大学で統計学科があるのは1つだけ*1。こんな先進国はほかにない」と樋口知之統計数理研究所長は憂える。

 数を扱うことを疎んじる者に対する、実証分析関係者からの対話が必要。様々な取り組みが始まっている。統計と経済の連携も有用だろう。

 さらに同じく、日経から。

経済教室 - 風
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*1:正確には、学科ではなく、総合研究大学院大学の学科の中の専攻として。ホーム | 総合研究大学院大学複合科学研究科 統計科学専攻