インセプション

 本作品では、人の睡眠中の夢の中に、別の人々が入り込む。ゆめうつつ の 人の夢の「物理的」世界に設計し、人と人との間で言葉をやりとりして、その人に働きかける。そして、「夢の中の夢の中の夢」を第3層目の夢、と定義している。

 これが、この映画を理解するために必要な基本的な概念であり、これがわかると、面白い。下位階層が上位階層にどう働きかけるか。

 個人的には、私の中ではパリでお気に入りの場所になっている、メトロPassy駅をセーヌ川に下りた ビル・アケム橋 が登場しているのがよかった。そこでロケして空間が設計されてしまった!

 階層をまたいだ夢の間の論理の破綻が気になったけど、この作品が張り巡らせている論理、理屈、お約束、は、ある程度、簡素化されてるようだ。あまり、突っ込みを入れるのは野暮のようだ。

 作品そのものよりも、渡辺謙は、食っていくために日本に必ずしもしがみつかなくてもよくなくなったんだな、ということに思いを巡らせてしまった*1。そんな俳優には、他に、工藤夕貴、もいたりするよな。