民意マーケティングにネット調査

 日経メディアラボから。着色は、筆者による。

 ネットは、世論なのか?

水面下で使われるネット調査−−衆院選スタート

 「郵政解散」に伴う総選挙は30日に公示を迎え、本格スタートした。企業のマーケティング活動にはインターネットが不可欠になったと言われるが、選挙活動にネットを利用することは、法の制約が大きいためまだ難しい。だが実は、水面下でネットが活用され始めている。



 現時点で政党の支持率をネットで調査すると、民主党の支持率が高めに出る傾向が強く*1ネット調査は各政党の支持率を比較する世論調査には利用できないことは多くのネット調査会社が認めているマクロミルの調査も支持率を探る世論調査ではない。

 それでも「調査対象者の地域別、年齢別の構成比を国勢調査の比率に合わせて回答を回収するなど工夫をした」としており「ある程度は正確に政策への国民の意識を把握できる」と同社は強調する。

 あるネット調査会社の担当者は「選挙情勢の把握にネット調査を使う話が、最近は広告代理店からよく持ち込まれる」と打ち明ける。ネット調査会社の多くは全国に数十万人規模の調査パネルを保有し、20問程度の設問でも1日でアンケートを集計できるノウハウがあるからだ。

 短期決戦の選挙では短期間で民意を把握できるネット調査が重宝される。有権者の意向を把握するためのネット調査は2年ほど前から増え始めており、ネットによる民意のマーケティングは密かに、選挙という「情報戦」を勝ち抜く手段になりつつある。

 新聞社などのマスメディアは通常、乱数番号を使った電話の世論調査を実施する。各陣営はこうしたデータも参考にしながら選挙の戦術を組み立てるが、世論調査は数百万円規模の費用が必要で、集計にも時間がかかる。

 ネット調査は質問事項を作って、即日、結果を分析できるメリットがある。「企業の市場調査でも選挙目的でも値段は同じ」(ネット調査大手のインフォプラント)なので、通常の調査ならば100万円程度で可能だ。公表を前提とする世論調査ではなく、戦況を把握するための情報収集の一環として使われる。「ネット調査で当落予測をしても、NHKの出口調査に匹敵する精度の結果が出せる」と評価する関係者もいる。

 現行の公職選挙法では立候補者が政策を訴えるホームページさえ更新できず、政策や意見を伝える手段として使うには大きな壁がある。一方で民意を把握するためのマーケティング活動に応用する研究はさらに先に進んでいる。

*1:「不安・不満が強い」(id:hottokei:20050208)から、アンチ保守になる。