ネット投票を「ネット調査」と言わせる世論誘導
6月9日Nikkei.comから。
厚生労働省がインターネットで実施した調査によると、国民から集まった回答(4465人)のうち約5割が現在の介護サービスを維持・充実するためには介護保険料の引き上げを「やむを得ない」との見方を示した。調査は2012年度の介護保険制度改革の基礎資料にする目的で、2月下旬〜3月末にかけて実施した。
介護保険料の引き上げを巡っては、「現在の介護サービス水準を維持するために必要なら、やむを得ない」と答えた人が約36%と最も多かった。「現在以上にサービスを充実するためにはやむを得ない」とする人も約14%いた。
一方で、「保険料を現状程度に維持することが重要であり、そのためには介護サービスの削減もやむを得ない」との回答は約7%だった。介護保険料は2000年の制度発足以来、高齢化を背景に引き上げが続いている。負担が増えても、介護サービスの維持・拡充を求める国民が多いもようだ。
日経は「調査」と言っているが、実態は厚生労働省による意見募集に過ぎない。
http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p100219-1.html
介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集平成22年2月24日
介護保険制度は平成12年に創設されてから、10年を経過しました。
厚生労働省では、今後の高齢化の進行を踏まえ、国民の皆様から介護保険制度への様々なご意見・ご要望を把握させていただきたいと考えております。
このため、広く利用者、事業者、従事者、自治体等関係者の皆さまから制度へのご意見を以下のとおり募集いたします。
なお、ご提出いただいたご意見に対して、個別の回答はいたしかねますので、あらかじめご了承ください。
記
1.募集期間
平成22年2月24日(水)〜3月31日(水)(郵送の場合は同日必着)
(以下略)
結果は、こちら。
http://www.mhlw.go.jp/public/kekka/2010/p0517-1.html
介護保険制度に関する国民の皆さまからのご意見募集の結果について
標記について、平成22年2月24日〜3月31日まで、厚生労働省のホームページを通じてご意見を募集しました。
お寄せいただいたご意見について、別添(PDF:3,313KB)のとおり取りまとめましたので、ご報告します。今後の見直しにあたり参考とさせて頂きたいと思います。
今回ご意見をお寄せいただきました方々のご協力に、厚くお礼申し上げます。
平成22年5月15日
この結果が出ているPDFのうち、「1.回答者の概要」を見ると、
(1) 総数4465件(うち男性1352人、女性2988人〉
(2)年齢
40歳未満 40〜64歳 65〜74歳 75歳以上
1136件 2542件 494件 240件
(25.4%) (56.9%) (11.1%) (5.4%)※年齢不詳が53件(1.2%)
(3) サービス利用の有無
・利用者本人270人(6.0%)、利用者の家族・1440人(32.3%)(4)その他の属性
・介護従事者・事業者:1853人(41.5%)、地方自治体職員:208人(4.7%)
回答者の4割は、介護従業者・事業者となっている。
(Nikkei.com再掲)
負担が増えても、介護サービスの維持・拡充を求める国民が多いもようだ。
国民、って誰のこと?
介護従事者・事業者の待遇については、課題があると私も思っている。
ただ、「目的」のための根拠、エビデンスをこんなモノで組み立ててしまうことには、危うさを感じる。