個人情報と公知情報

 個人情報保護法施行になった今。

 付き合いもないのに勝手にダイレクトメールを送ってくる業者がいたのだが、いよいよたまりかねて、コレクトコールで電話をかけて、

 こんなもの送ってくるな
 いったいどこから住所氏名を入手したのか

と申し入れた。すると、情報の入手源は、本人の同意に基づくものではなく、法務局の不動産登記簿謄本という公知情報からであると、電話の主は答えた。

 その会社のプライバシーポリシーを見ると

当社は、個人情報を適法かつ公正な手段により収集いたします。

当社の保有する個人情報は、次のような目的で利用させていただいております。
(1)不動産のご購入をおすすめするダイレクトメールの発送、電話によるご連絡、電子メールのご送信等のため。

と、イケシャーシャー。

 こういったことについては、会社の顧問弁護士とすり合わせ済みとのこと。

 株式会社 帝国データバンクビジネスサービス(TDDBS)のサイトは、もっとはっきりしていて、客の希望に応じて公知情報を法務局から取得してくると宣言している。

三者(以下、お客さま)への提供を目的として、公知情報である商業登記簿謄本ならびに不動産登記簿謄本を法務局で取得します。登記簿謄本には個人情報が含まれていますが、弊社では個人情報のデータ化・蓄積は行っておりません。登記簿謄本に記載されている個人情報は弊社の「保有個人データ」ではありませんので、開示・訂正等には応じかねますことを予めご了承下さい。なお、弊社では個人信用情報については取り扱っておりません。

 TDDBSは、客が与信をするために必要とする情報の入手を代行してあげるというわけであり、そのような代行入手サービスが存在することは認められてよいと思う。しかし、この代行入手サービスを利用する客はすべて与信活動を行っているといえるのか?

 公知情報と個人情報が健全な関係であることを言葉(法令)で定義するのはバカバカしい。それこそ「常識」でわかるだろ、と言ってのけたい。しかし、近年の「何でもあり」な世間ではそうとも言い切れなくなっているのが、問題であり、悩ましい。

 つまるところ、情報は使いようであり、情報の使い手の信用問題。

 個人に関する公知情報を営業活動に用いる オークラヤ住宅株式会社は、法的な問題はクリアしていたにしても、おつきあいしたくなるかどうかは…、言わずもがなですね。