読んだ本まとめ
デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
- 作者: 藻谷 浩介
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/06/10
- メディア: 新書
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「人口の波」は正確ではなく、打ち寄せる景気の波に対して、満ちて引いていく現役世代の人口は汐(しお)。
戦後、ベビーブーム、農村からの金の卵、のおかげで、一貫して増えてきた就業人口という 汐 。国連人口白書は、人口ボーナスと名付けている。
その汐が、1990年代半ばを境にして、現役世代の人口が減少に転じている。
日本の総人口が減り始めたのは2004年12月*1だが、これは、労働の第一戦から離れた高齢者を含めた数についてである。
現実には、これよりも前に、自分で稼いでいる人口は減り始めている。
生産年齢人口(15〜64歳。10月1日付)は、1995年の 8,726万人をピークとして、以降減少に転じている。2009年は 8,149万人(総務省統計局 人口推計)。
就業者人口(実際に働いている)は、1997年の 6,557万人をピークとして、以降減少に転じている。2009年は 6,282万人(総務省統計局 労働力調査(年平均結果))。
労働力人口(完全失業者を含む)も、翌1998年の 6,793万人をピークとして、以降減少に転じている。2009年は 6,617万人(同資料)。
これまで減少することのなかった15歳以上人口までも、2008年 11,050万人 がピークであり、2009年は同数だった。2010年には、減ってしまうのか。
そして、団塊世代が年金受給開始となる時期は、「2012年問題」と言われ始めている。
かつての金の卵は、人口オーナス(重荷)(これも、国連人口白書による名付け)と言われている。
書名となっているデフレの正体とは、現役世代人口による需要減退、としている。
稼ぎ手が減少していく中では、GDPが減少することは甘受しなければならない。人口減少のスピードを生産性向上のかけ声や外国人移民受け入れでひっくり返すことはできない。
けれども、まし にしていく努力はできるし、努力しなければならない。
本書は、悲観に暮れておしまいではなく、いくつもの提言をしている。
作中の「中国が栄えれば栄えるほど儲かる日本」につながる可能性のある分析がアジア開発銀行研究所から提出されていている。(売上げがあるからといって、儲け(付加価値)になっているかどうかは、別問題であることに注意。)
- 大ヒットのiPhone「儲かっているのは、実は日本」―韓国メディア(サーチナ)
- Not Really 'Made in China' The iPhone's Complex Supply Chain Highlights Problems With Trade Statistics(Wall Street Journal)
- How the iPhone Widens the United States Trade Deficit with the People's Republic of China (Asian Development Bank Institute)
- 作者: 萱野稔人,水野和夫
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/11/17
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1970年代の石油ショック、80年代のベルリンの壁崩壊、90年代の国際資本移動の完全自由化*2。
これらにより、先進国と途上国の垣根は溶解し、先進国が途上国を搾取していた貿易ゲームはもはや過去のものである。
経済は、歴史的に未知のルールに入りつつあるという観点から、世界と日本の将来を占う。
この本に関わった斎藤哲也が、萱野稔人に赤木智弘を招いたpodcastあり。(「"世界経済の真実"は若者を見殺しにするのか」)
- 作者: 山根 一眞
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 2010/07/29
- メディア: ペーパーバック
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「はやぶさ」、「そうまでして君は。」のくだりは、こみ上げてくるものがあった、本のくせに。これは、川口淳一郎プロジェクトマネージャ の書名にもなった。
あかつきにも一縷の望みをつなぎたい。J-WAVE DOCOMO 東京 REMIX 族 に出演(5月1日金星の極み)して、メディアトレーニングのことまで披露してくれた中村正人プロジェクトマネージャー に希望を持ちます。
*2:何をもって「完全」な自由化と本書が主張しているなのか、筆者は実は理解できていない。この本には書いていないし、ウェブで調べても明確なイベントは出てこない。