靖国 YASUKUNI

『靖国 YASUKUNI』上映中止について考える - シネマトゥデイ



 この映画、私は、まだ見ていません。

 ドキュメンタリーに、客観性を求めるのは幻想であり、作り手の意図からは逃れることはできない。マスコミが報道する、映画「靖国」を巡る状況にも、マスコミによる作り手の意図がある。

 皆が発信者になりうるウェブにおけるそれぞれの立場を観察することで、総合的に映画「靖国」について読み解くべき。


映画「靖国 YASUKUNI」に関するお知らせ(4月10日靖国神社広報課)有限会社龍映 取締役 李纓(映画の監督) 宛の内容証明郵便

映画「靖国 YASUKUNI」に関する再通知について(5月1日靖国神社広報課)有限会社龍映 取締役 李纓 代理人弁護士 宛の内容証明郵便


 この「再通知」では、靖国神社御神体に関する認識を靖国神社の指摘を受けて映画側が変えたのではないか、といった指摘をしている。

 実は、李纓、本人によるサイトがない。http://www.yasukuni-movie.com/index.htmlでも、これに対する考え方が見えない。このため、映画側の立場がはっきりしない。森達也マイケル・ムーアなら、個人サイトがあるが...


 ところで、靖国神社は、2006年10月、遊就館における記述でアメリカが批判した部分について修正をしたという。一方で、アジア関連は変えてはいないという。*1

 靖国神社であれ、映画「靖国」であれ、だれであれ、それぞれが腹に一物を持っていて当然だろう。


 今回の騒動は、芸術文化振興基金 | 独立行政法人 日本芸術文化振興会という政府紐付きのカネが絡んでいたから政治的介入を許すことになってしまった。映画、ドキュメンタリーが政府補助金なしに作れて観られる環境があれば、この騒動の前提は、また違ったはず。

 その意味で、

日弁連会長声明集
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/080404.html

を巡る状況は、

http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/080208.html

に比べて、ややこしくなっている。

李纓監督らによる一方的な攻撃に対し、謹んで真実をご報告申し上げます 参議院議員 有村治子

「政治介入」の意図が全くないからこそ、刈谷さんと連絡をとったことを自らの国会質問で明言しています

私が国会で刈谷さんご夫妻の窮状を明らかにするまでに、一体誰が刈谷さんの人権を守るために立ち上がって下さったでしょうか

衆議院議員 稲田朋美 : 「 お知らせ」「映画「靖国」の助成金問題について産経新聞正論に書きました。新聞では字数に限りがありましたので割愛していないものをこちらに掲載させていただきます。」

 結論からいって同振興会が助成金を出したのは妥当ではない。1.日本映画である、2.政治的、宗教的宣伝意図がない、という助成の要件を満たしていないからだ。

(中略)

 さらに映画「靖国」は、政治的存在である靖国神社をテーマとして扱っており、そもそもが政治的宣伝である。

(中略)

 いわゆる「南京大虐殺」の象徴とされる百人斬り競争―私は、戦犯として処刑された少尉の遺族が、百人斬り競争は創作であり虚偽であることを理由に提起した裁判の代理人もつとめた。結論は遺族らに対する人格権侵害は認められなかったが、判決理由の中で「百人斬りの内容を信用することが出来ず甚だ疑わしい」とされた。ところが映画「靖国」では、この百人斬り競争の新聞記事を紹介し、「靖国刀匠」をクローズアップすることにより、日本軍人が日本刀で残虐行為を行ったというメッセージを伝えている。