面倒を通り越して、有害な、電子申請

 ある者はそれを苦行といい、また、ある者はそれを障害物競走という。汝の名は、お役所の手続き。

 そして、電子申請ソフトに欠陥、と騒がれている今回の問題である。これは面倒を通り越して、有害となってしまうものである。

 この問題は、JRE脆弱性に起因しており、電子申請をするために必要な環境を自分のパソコンで整えると、悪意のある者により情報漏えいを生じさせるをさせかねない。


 古来から、また国の内外を問わず、お役所への手続きというものは面倒くさいものと相場が決まっている。paper workという言葉にはそれ自身に、退屈な、うっとうしいというニュアンスがある。

 そんな厄介なお役所手続きにとって、電子申請の導入は福音になっている、例えば、シンガポール、韓国。最近では、エストニア電子政府が注目されている。

 そんな世界的潮流になぜか背を向けているのが、日本政府。

 電子申請をする国民は、公的個人認証(要は本人確認)のために電子証明書が必要であり、そこで登場するのが、住民基本台帳カード。2003年8月の登場からそろそろ丸4年、国民の支持を失っている。

 似たようなお仲間には二千円札というものもあるが、これはまだ曲がりなりにもお金だからまだ使い用はある。しかし、住基カードは汎用性がない。EdySuicaなどのFelicaとは規格が違う。住基カードアプリを、おサイフケータイに取り込む、という芸当はできない。

 FelicaICカードリーダライタは、それを埋め込まんだノートパソコンが登場するくらいに人気が出てきつつあるかもしれない。それでも、Felicaを家庭で使うというシーンはまだまだである。

 まして、住基カード電子証明書付き住基カードで電子申請をするためには、これとは別規格のICカードリーダライタが必要。ビックカメラ.com のhttp://www.biccamera.com/bicbic/jsp/w/report/iccard_reader/buy.jspによると、品薄だという。これは、PASMOのような爆発的売れ行きを背景をしたもののようには、にわかには思えない。

ICカードリーダーはビックカメラ各店舗にて展示しております。また、商品はビックカメラ各店舗及びビックカメラ.comにてお取り寄せをさせていただきます。
(現在のところ、十分な商品数がございません。お取り寄せに時間がかかる場合がございます。あらかじめご了承ください。)

 閑話休題

 今回、「厚労省の電子申請ソフト欠陥」(IT Pro)と報じられたのは、役所の電子申請を行う際に導入することが要求されるJava Runtime Environment (JRE) の一部バージョンの脆弱性問題に端を発する混乱。

 「原因はパッチ更新の慢性的な滞り」(同)というが、電子政府にとってJREは「電子政府も縦割り弊害 各種申請、同一PCで無理」にあった、バージョン違いによる非互換問題以来、鬼門だったのに。

 混迷の色が深まる。訳のわからないものに税金が投入されているのは、社会保険だけはでない。

 その点、電子申請から足抜けを図る?外務省 - 繰り言は、本当に足抜けをはかっているのだとしたら、賢い。