重要文化財 日本橋「三井本館」

 三井本館の中に初めて入ってみた。その荘厳さには,息をのんだ。

 この建物は,三井財閥直系各社を収容するために1929年に建設されたもの。三井本館を保存しながら隣接地に建設する(仮称)室町三井新館(現在の日本橋三井タワー)には,「重要文化財特別型特定街区制度」を適用して容積率を差し出している。

 銀行も,そういえば立派な建物だったんだよなぁ。金を預ける先としての信用力を建築物という形で具現していた。

 いまでは,銀行という産業はコモディティ化してしまい,ネット銀行(ジャパンネット)やコンビニ銀行(セブン)といった身軽なものだってよいものになってしまった。同様に過激に軽量化が進んでいるのが、伝統的証券会社とネット証券、固定電話と携帯電話。

 三井本館の中で笑ってしまったのが、中央三井信託銀行日本橋営業部の玄関に置いてあった立て看板。看板の内容は、確か「マンダリンオリエンタルホテル東京は、このビルではなくあちらです。」という趣旨。

 三井本館は、中央通りに面しており、日本橋三井タワーと並びになっている。 マンダリンオリエンタルというブランドホテルなら、近代的なタワーよりも、あんな重厚な建物で迎えて欲しいと期待して、間違えて入ってきたり、ここぢゃないの〜?、と尋ねたりする人が多いのだろうか。

三井不動産 ニュースリリース平成10年10月14日 「三井本館」重要文化財指定のお知らせ

 実際、こんなホール、空気感のあるあの空間は、銀行の窓口に使うよりも、ボールルームに使った方がよい。商業的成功以上の意味を持つようになると思う。週末は、待ち客用ベンチを全部取り払って、貸切りイベントに活用できうる。

 三井住友銀行の ATM での表示。

 手続をさせていただいております。

 やれやれ。銀行業までが,「させていただく」表現だ。d:id:hottokei:20051028