ネット調査 vs 標本調査 その後

 2月5日の小欄にて触れた、政府自身が行うネット調査の正確さの検証する標本調査は、とんだ茶番であった。

 内閣府広報室の郵政民営化に関する特別世論調査が公表されたが、この質問紙には

次に時事問題として,郵政民営化について質問します。
(パンフレットを提示してよく見てもらってから質問する。)

という、誘導がなされている。asahi.comでは、その記事中、設問も調査形式も違い、事前誘導のことも指摘している。内閣府の公式発表では触れられていないが、asahi.comによると、このパンフとは「だから、いま民営化」だそうだ。

 過日のネット調査では、質問紙が公開されてはいるわけではないので単純には分からない。それでも、『「郵政民営化の基本方針」の認知』という問の中の選択肢として「「基本方針」は知らないが、民営化は知っていた」があることから、ネット調査では質問前の事前誘導はないようにも思われる。

 果たして、調査方法が異なるのに互いの結果を比較することに意味があるかもはやわからないが、Yomiuri Onlineでは、標本調査での「賛成」「どちらかと言えば賛成」の計49%で、ネット調査での「賛成」「どちらかと言えば賛成」の計55%、と賛成の割合が標本調査で”減少”していることを指摘している。

 この点について内閣府からのコメントを引き出しており、曰く「インターネット利用者は都会の若者が多い。今回は、郵便局をよく利用する高齢者や地方の回答が増えたのではないか」。

 ちなみにネット調査の公表資料によると、”Ⅱ 調査の概要 (5) 対象者属性:性別、年代、エリアを人口構成比に基づき割付。”と書いてある。

 異なる調査方法、異なる調査の設計を単純に比較するわけにはいかないが、2月8日に小欄d:id:hottokei:20050208で引用した労働政策研究・研修機構の研究調査が指摘するところの

モニター(公募モニター、無作為抽出モニター)を使ったインターネット調査・郵送調査の回答者には、従来型調査と比較して共通の特徴(高学歴、労働時間が短い、不安・不満が強い等)が観察された。

の方が、賛成の割合が標本調査で”減少”していることにむしろ符合するところがある。