大丈夫か、AMの方は?

 だが、そうなるとラジオ需要者はFMに流れているわけであって、AM中波はますますじり貧か。

 そのことを検証するには、ビデオリサーチのラジオ聴取率調査を見ればよいのだろうけれども、調査結果があまり開示されていないようなので、ラジオのセットインユース(ラジオ媒体に接触した人の割合)の推移はわからない。

 以下は、わたしの邪推。

 AM中波は、FM超短波と比べて広い範囲で聴くことができる(回折作用と相まって伝播距離が長い)ということはもっと認知されてもいいはず。しかし、端末が十分出回っていないことには、現実問題として、聴取者、放送向け広告という市場は枯れてしまう。

 AMよりももっと利便性が高いはずの短波放送が置かれている現状を顧みれば、AMも、ごく近い将来、ラジオたんぱ(現在のラジオ日経)程度の存在になってしまうかもしれない。

 ラジオたんぱは、全国的娯楽番組を提供していたし(ヤロメロファンは、「大橋照子のヤロウどもメロウどもOH! 30周年記念番組」(五月三日放送予定)と、今だって、熱い。)、英協の百万人の英語や、旺文社大学受験講座を、聴取しやすい夕方に放送してくれてもいた。けれども、それらの番組は、今はない。

 ラジオ日経は今も、株、競馬情報を流しているが、メディアの多様化の波に洗われる中で、どれだけの存在感があるか。

 振り返ってみれば、AM中波よりもFMの方が、今は聴取可能な局数が多くなっていることが多くなっていないか。