地域間格差ジニ係数の新星

 地域間格差ジニ係数を考える材料に、市町村税課税状況等の調という統計が使う手法が開発された。

 そもそも、市町村税課税状況等の調という業務データがあること自体、知らなかった。標本調査統計だけでなく、業務データの掘り起こしにも目配りが必要。もっとも、課税状況という数字を利用するに当たっては、課税所得の捕捉率の精度について議論があることに、留意する必要がある。(いわゆる「とーごーさん」というやつ)、

 ところで、この「市町村税課税状況等の調」データの実態がなんなのかがよくわからない。出典とされる総務省そのウェブサイトでは、データとなる数字を掘り出せない。不思議。

 2月4日mainichi-msnから。

地域間格差:所得格差「小泉政権下で拡大」実証 本社集計

 99〜04年の全国の市区町村の納税者1人あたりの平均所得に関し、格差の度合いを示す「ジニ係数」を年ごとに割り出したところ、02年を境に上昇したことが3日分かった。ジニ係数毎日新聞が東京大大学院の神野直彦教授(財政学)の協力を得て割り出した。平均所得の最高値と最低値の差は3.40倍から4.49倍に拡大、小泉純一郎前政権の間に地域間格差が開いたことを示した。神野教授は「感覚的に論じられてきたものを初めて定量的に示せた」と指摘しており、地域間格差は4月の統一地方選の主要争点になりそうだ。

 毎日新聞は、総務省が毎年まとめる「市町村税課税状況等の調(しらべ)」に基づき、年ごとに市区町村別の総所得金額をその自治体内の納税者数で割って平均所得を確定。これをジニ係数を求める公式に当てはめた。

 その結果、99〜01年はほぼ横ばいだった数値が02年の0.070を境に上昇に転じ、04年には0.079になった。国内の個人所得のジニ係数が99〜04年で0.007ポイント上昇というデータがあることが「格差論争」の根拠の一つとされており、市区町村別が2年間で0.009ポイント上昇したことは大きな数字だという。

 平均所得の上位はほとんどが大都市部。04年には東京23特別区のうち9区が上位20自治体に入った。これに対し、下位は軒並み高齢化の著しい町村部。最高値と最低値はそれぞれ、99年は東京都港区の751万円、秋田県東成瀬村の221万円で、04年が港区の947万円、北海道上砂川町の211万円だった。

 神野教授とともに作業にあたった慶応大大学院経済学研究科の宮崎雅人氏は「小さい所を大きな所が吸収するケースを考えれば、平成の大合併ジニ係数を下げる方向に働いたはずだ。実際の格差拡大は今回の結果より大きいのではないか」と分析している。【統一地方選取材班】