大学卒業生の進路に対応した基礎物理教育の調査・研究

 今日付の日経朝刊に

「基礎力養成に意義 物理系の学部教育 卒業生どう評価
 キャリア形成の原動力 新技術への対応力磨く」

というタイトルで、日本学術会議物理教育小委員会メンバーによる科研費課題研究が新聞報告されてた。

 記事のもとの報告書は、日本物理学会ウェブサイト、物理教育委員会ページから見られる。

 この報告書(全84ページ)の11ページによると、

予備調査と本調査を合わせると,発送総数7318,実質送付数6438 で,回答総数777,回収率10.6%,実質回収率12.1%である。

 新聞紙面には、調査対象の紹介は書いてあったが(学部卒業後5年ごと15年後の者)、回収率の記載はなかった。

 
 報告書の記述で興味深かったのは、

国立大学の法人化にあたり,卒業生追跡調査等を行うことが中期目標・中期計画に記述されている大学が多いと聞く。
(8ページ)

 「多いと聞く」のがどの程度かが明らかになっていないことについてはあえて深掘りしないが、高等教育の成果のフォローアップにより科学技術立国、知財立国を目指す日本の一助と是非すべきである。(参考図書 「理系白書」(毎日新聞科学環境部))。

 しかし、ここにも個人情報保護法施行による壁が。

 実際に打診を開始すると,卒業生名簿を学科が管理している場合でも,この調査のために提供することに慎重な学科が少なからず存在した。B あるいはC のケースでは,学科主任(学科長)からの依頼状を一部改められるところや,独自の依頼状を同封されるところもあった。卒業生名簿を同窓会が管理している場合は,学科が仲介して提供することになるので,さらに慎重になる場合が多かった。同窓会に事務局が直接コンタクトするように指示を受けて解決できた場合もあり,教員が個人的に知っている当該年度の卒業生にボランティア的に発送して下さったケースもあった。また,学科で集計したデータしか事務局に送っていただけなかったために,個別回答票に基づく集計には含めることが出来ないケースもあった。

 なんとも、はがゆい。

 自分が学んだDisciplineへの恩返し、後進へのフィードバックも、プライバシーを盾に拒絶、めんどくさがるようでは、人材が枯れる。