むやみに移動を開始しない

 「首都直下地震対策大綱」(2005年9月中央防災会議決定)によると、膨大な帰宅困難者に対して行政は責任を負うことを放棄する立場をにじませ、”動かぬが花”を説くことに注力することを宣言している。

帰宅困難者対策 *1
(国、地方公共団体
・「むやみに移動を開始しない」という基本原則の周知・徹底
(企業)
・従業員の一定期間の収容

 「むやみに移動を開始しない」が基本原則なのだそうです。

 この基本原則は、企業や学校等に属する人に対するものであり、一方で、

 企業等に所属しない人に対しては速やかに帰宅を支援する必要がある *2

としている。企業、学校にいない人は、庇護を受けるすべを持たないことになる。通勤、通学途上の人も、同様の扱いを受けかねない。

 引用をちょっと広げると、

 企業等に所属しない人に対しては速やかに帰宅を支援する必要があること、また、企業等に所属する人でも数日間都心に留まった後は整然と帰宅してもらうことが必要であることから、徒歩帰宅支援及び搬送のための対策を実施する。

 地方公共団体は、地域住民の避難所として指定されていない公共施設等を帰宅途上の人たちへの一時休憩施設として提供できるよう協定の締結に努める。また、駅、郵便局、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド及びその他街頭において情報提供スポットを整備して被災情報や交通情報の提供を行う。また、道路管理者は、道路情報板等を活用して道路の被災に関する情報を提供する。

 この文章を読んで、実際にその自体になったらどうなるか、想像してみましょう?

*1:中央防災会議(平成17年9月27日)「首都直下地震対策大綱について」説明資料1

*2:中央防災会議(平成17年9月27日)「首都直下地震対策大綱
 第2章 膨大な被害への対応 〜地震に強いまちの形成〜
  第2節 膨大な避難者、帰宅困難者への対応‥
   2.帰宅困難者対策
    (3)徒歩帰宅支援及び搬送)