行動データ分析。外部提供には、繰り返し浴びせられる批判。

 JR東日本Suicaデータ提供による日立製作所駅エリアマーケティング情報サービス事業と、それに対する批判の声。

 これを見て、6年前にあった、松井証券個人投資家株式売買データによる一橋大学大学院研究グループとの行動ファイナンス共同研究に対する批判を思い出した。(結局、プレスリリース一週間で「無期延期」)

松井証券プレスリリース 2007年
05月30日 行動ファイナンスに関わる研究への協力について
06月06日 行動ファイナンスに関わる共同研究の無期延期について


日立製作所ニュースリリース2013年6月27日
交通系ICカードのビッグデータ利活用による駅エリアマーケティング情報提供サービスを開始

 6年前の松井・一橋のケースは研究(非営利)であったのに対して、今回のJR東日本・日立のケースは販売(営利)であったであろう(まさか慈善事業ではあるまい)。6年前の非営利でさえそんな苦杯を味わされたということを知っていたのだろうか。

 そもそも、6年前のケースと、今回のケースと、食い違っている点がある。

 6年前はデータ提供側の松井証券がリリースを出していた。一方、今回はデータ受取側の日立がリリースを出すだけであったこと。JR東は、今日までウェブサイト上で積極的な情報公開をしていなかったように見受けられる。

 Suicaに関する約款を見ても、統計的に処理して個人の特定をどうこう、であるという言葉は見当たらず、Suicaに関する情報の提供は、他社線の乗車や電子マネーの利用のケースしか書いておらず、そのような購買行動に関係のない相手先に対する行動データの取扱いについての宣言、告知はされていない。

 そして今日、JR東はようやくウェブにこの件に関わる情報を載せた。

Suicaに関するデータの社外への提供についてよくいただくお問い合わせ

7月25日Suicaに関するデータの社外への提供について

 上は、JR東日本ウェブの企業トップページに掲げられているものである。JR東日本は、これとは別に、Suica特設ページを設けているが、このページでは本件に関する言及はされていない。

 なぜJR東が今日のタイミングになってようやく重い腰を上げたのかは、不明。マスコミがこれまでに繰り返しJR東を指弾してきたことの功は多としたい。

 その一方で、Tポイント楽天Edy、クレジットカード購買履歴などの、グループ内利用は進行してるんだろうな。