「値下げ」の見せ方のトリック - NHK受信料

 日本放送協会の来年度予算における、NHKテレビ受信料の値下げ案を表したグラフ。


NHK INFORMATION「平成24年度収支予算、事業計画及び資金計画」 にある平成24年度資料から。

 NHKが用意したこのグラフには、いくつかのトリックがある。

 グラフの足を省略することにより、8.9% 減 の印象を過剰演出していること、だけではない。

 受信料値下げをアピールしているが、その説明に地上契約の場合を用いているが、他にも衛星契約がある。それが、表現されていない。

 地上契約:衛星契約 = 6:4 *1であることから、地上契約の方を優先してグラフを書いた、ということなのかもしれない。

 両方の契約について、表にまとめるとこうなる。値下げ幅はともに120円と、同じ。比率にすれば、料金の安い地上契約の方が、値下げ幅を強調してアピールできる。

2012年9月まで 2012年10月から 変化
地上契約 受信料 1,345円 1,225円 120円 (-8.9%)
衛星契約 受信料 2,290円 2,170円 120円 (-5.2%)

 ところで、上の表でも、まだ表現されていないことがある。

 去年の春、NHKは衛星放送のチャンネル数を3つ(BS1, BS2, BS Hi)から2つ(BS1, BS Premium)に減らした。

2011年3月まで 2012年9月まで 2012年10月から 変化
地上契約 受信料 1,345円 1,345円 1,225円 120円 (-8.9%)
チャンネル数 地上 2 地上 2 地上 2 ± 0
衛星契約 受信料 2,290円 2,290円 2,170円 120円 (-5.2%)
チャンネル数 地上 2 + 衛星 3 地上 2 + 衛星 2 地上 2 + 衛星 2 - 1 ch

 地上契約では享受できる便益に変化がないのに、衛星契約では減っている。にもかかわらず、値下げ金額はともに120円と変わっていない。