ホキ美術館

 写実絵画(しゃじつかいが)の専門館、千葉のホキ美術館

 現代の言葉でいうならば、まるで、写真のような、絵。

 目の当たりにすると、まったくこれは写真。

 けれども、絵に近づいて目を近づけてしげしげと見てみれば、この絵の木目は、絵の具のタッチが認められ、筆の遣いが息づいている。

 絵から退くと、そこには絵ではなく、やはり写真がそこにある。光に揺らめきが、水のしずく感が、人の肌の、肌触りと、肌の下の血の流れまでが、感じられる。

 再び絵に近づけば、やはり絵の具の塗り重ね。

 退き、近づき、また、退く。

 これを繰り返すたびに、我が眼は対象物の変化(へんげ)を味わう。

 この視覚経験に、脳細胞のツブツブがフツフツと沸き立つような思いをする快感。