業務の質の確保

 社会保険庁社会保険業務センターは、株式会社フルキャストから派遣される登録スタッフを使用して、年金台帳マイクロフィルムの内容をデータ入力用のシートに書き写す業務を実施している。

 この作業の品質については、昨今の報道の通り。

 テレビ・新聞は、1月30日の民主党厚生労働・総務部門合同会議における社保庁説明を情報源としているものが多い(「年金記録転記で大量ミス、中国人アルバイトが誤記Yomiuri Online 1月30日)。

 社保庁を白州に出して説明をさせた功績は銘記してもよいだろう。これは、国会の場ではなく、野党の会議である。

 しかし、民主党に真に調査能力があるのかというと、その実態は、一部ジャーナリズムが掘り起こしたものを後追いしたものらしい。30日の民主党会議よりも前に、日刊ゲンダイもはや絶望「年金照合現場」の驚愕実態1月22日日刊ゲンダイ」や、週刊現代「年金照合現場」で中国人バイトが「大量転記ミス→失踪」」*1が報じている。テレビ・新聞は、これらの一部ジャーナリズムのことを黙殺していたと言われるても仕方がないだろう。

 登録スタッフを派遣する当初から「ご要望に応じたスタッフで対応」することは派遣会社としての責務であるが、フルキャストグループは、質の確保について当事者能力がないことを白状している。

 外国人スタッフが作業を行なった際、姓名の区別が判断できない、旧字体の認識ができない等のケースが見られ、修正作業が発生したとの報告を受けております。

「修正可能なスタッフに変更してほしい」とのご要望を頂き、12月21日以降は、全てご要望に応じたスタッフで対応させて頂きました。
(「本日のマスコミ報道について」1月31日フルキャストグループ)

 結局、その派遣職員をどのように管理しているのか。

もはや絶望「年金照合現場」の驚愕実態 日刊ゲンダイ
「(中略)…ちょっと読めない字や変わった名前があると『なに、これ』『変な名前』と大ハシャギです。最悪なのは、読めないのに形だけ真似て書き写しているケースがあること。なんのための照合作業なのか。なんだか、新たな混乱をつくり出しているようで……」
 当初は、書き写しに間違いがないか、2人1組で「読み合わせ」をしていたが、最近はやめてしまったという。
社保庁職員は『読み合わせは最後のチェックです。しっかりやってください』と言っていたのです。ところが突然『みなさんのスキルがあがったから』と、ひとりでチェックすることになった。」

01月31日本日のマスコミ報道について
平成20年1月31日 フルキャストグループ
各 位
本日のマスコミ報道について
弊社より、社会保険業務センターにおける年金記録の入力対象者リストの転記等の業務に、外国人スタッフを派遣していた件について、お客様および登録スタッフの皆様をはじめとする関係者の方々に、多大なご迷惑と混乱を招いたことを心よりお詫び申し上げます。
本件についての経緯を、下記のとおりお知らせいたします。

1.経緯
 平成19年12月10日から平成20年1月31日の期間、社会保険業務センターにおける「年金記録の入力対象者リストの転記等業務」に、1日あたり約160名の登録スタッフを派遣しておりました。(うち外国人スタッフ30〜50名/日によって変動あり)
 マイクロフィルムで保管されている年金記録を転記する作業において、外国人スタッフが作業を行なった際、姓名の区別が判断できない、旧字体の認識ができない等のケースが見られ、修正作業が発生したとの報告を受けております。このことから、12月20日の時点で「修正可能なスタッフに変更してほしい」とのご要望を頂き、12月21日以降は、全てご要望に応じたスタッフで対応させて頂きました。

2.弊社の外国人スタッフについて
 弊社は法令を遵守した適正な派遣を行なっており、本日のマスコミ報道の中で、一部「人件費を抑えるために、外国人を派遣した」との報道がありましたが、そのような事実は一切ございません。
 弊社に登録されている外国人スタッフは、他のスタッフと同待遇であり、時給等が国籍によって異なるということはありません。
以上

*1:社保庁は、私が目撃した日本語をきちんと話せるかも怪しい中国人をバイトとして雇った。そして、彼らを別室に隔離したうえで、われわれと同じ年金記録の転記作業にあたらせ、その結果、大量の転記ミスを生み出したのだ」http://www.ohmynews.co.jp/news/20080201/20440