神奈川県知事「ネットアンケートにはどうしてもバイアスがかかる可能性」


 県知事は、インターネットを使ったアンケートというのは、どうしても、バイアスが掛かる可能性がある、ということを指摘している。ここで言うインターネットを使ったアンケートとは、e-かなネットアンケートであり、神奈川県内外からエントリーを受け付ける登録モニターが意見表出できる。

 知事は、リアルタイム途中経過を隠せばネット調査の問題が解決できるような趣旨の発言をしている。単純な登録モニターによるネット調査の本質は、投票に過ぎない。このことを十分理解されていないようである。

 知事の言う「統計的な分析に基づいた、中立的なしっかりした調査」とは、一定の母集団の中にから無作為に偏りなく標本を抽出した調査であるべき、ということ。例えば、同じ神奈川県の川崎市は、川崎市営地下鉄建設の是非について、無作為抽出の世論調査を実施したことがある*1

定例記者会見(2007年2月14日)結果概要

公共的な場所での喫煙規制のアンケートについて

Q 記者

 受動喫煙を防止するための公共的な場所での喫煙規制のアンケートを実施されたと思うのですが、それを、条例を含めて規制をするかどうかの参考にされるとおっしゃっていたと思うんですが、結果を見ると規制に反対している意見の方が多いということになっていました。この結果についてどういうふうに思われるかというのと、それから、ということはどういうふうに条例への規制も含めて、規制というのをお考えになっていくのかというのをお聞きしたいのですが。 

A 知事

 私、これ、いろんな所で講演をしたり、多くの人と会う時に、私なりにその場でアンケートをやっているんですね。こうやって講演会に200人とか来てくれたら、「実は今、県でこういうことを考えています」と、「皆さんはどうお考えですか」と。アンケートで賛成・反対を取ると、おおむね9対1ぐらいで賛成が多いんです、公共的スペースでの受動喫煙防止のための全面禁煙措置というのは。そこで、それが大体今の世論の考え方かなというふうに思っていたんですが、今回「e-かなネット」でこの受動喫煙防止アンケートを行っておりました。結果は、今ご指摘の通り、そういう規制には反対だという方が少し賛成を上回ったんですね。ですから、私はこの数字自体を見て、ある意味で、私が対人的に行っていた意見聴取とは大分違ったので驚きました。ただ、この「e-かなネットアンケート」、インターネットを使ったアンケートというのは、どうしても、バイアスが掛かる可能性がございます。例えば、世論調査などをやる場合の、統計的な分析に基づいた、中立的なしっかりした調査と違いまして、「e-かなネット」の場合は誰がその回答者になるか分からないわけですね。ですから、そういうバイアスがあるということも含めて受け止めなければいけないというふうに思っております。従って、多くの県民の皆さんの意見を聴いて、できるだけ県民の皆さんの意見がどの辺にあるのかというのをこれから情報収集していかなければいけないわけですが、まあ広聴ですね。それにはいろんな方法が考えられると思います。「e-かなネット」のようなアンケートもやりますし、あるいは私が講演先でいろんな方に直接意見聴取するということもやりますし、あるいはこの問題については今後、先程申し上げた正規のアンケート調査みたいなものもやっていきたいというふうに思っておりますし、まあ、そうしたことをやりながら方向性を見いだしていきたいというふうに思っています。ですからこの調査だけで、どうこうという判断をするつもりはございません。


Q 記者

 後半になってすごく回答数が増加したみたいですが、そこら辺に関してはその何らかのというか、普通の率直なアンケートだったのかどうかというのは・・・。

A 知事

 そうですね。期限に向けて半分から3分の2ぐらいのところまでは規制に賛成派が反対派をずっと上回っていたのですが、最後のところでこれが一挙に逆転してですね、規制に反対派が上回ったというんで、まあ少し組織的な動きがあったのかもしれません。ただこれは分かりません。所属が付いているわけではないので。そこで、今後の改善点としては、今の「e-かなネット」は登録して回答するとその直後にその内容が見られるようになっているんですね。見られるというか伝わるようになっているんです。現状では賛成・反対がどれぐらいなんですというのが伝わるようになっているんですね。ですからそれが伝わってしまうと、例えば組織的に動きたい人はほかの組織の仲間に、「おい、俺たちの票が負けているぞ」と「このままじゃまずい」と、「みんなでやろうじゃないか」というように組織的な動きを誘発してしまう可能性もあるので、今後システムを見直して、完全に見られなくすることもできるような改良も必要なのかなというふうに思っていまして、まあこれは広報県民課とも今後議論をしていきたいなというふうに思っております。

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*1:川崎縦貫高速鉄道線整備事業に関する市民1万人アンケート調査 川崎市在住20 歳以上(外国人を含む)の男女を無作為抽出、訪問配付留置法。