統計数学を疑う なぜ実感とズレるのか?(門倉貴史 光文社新書)

統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)

 中国からの輸入品による価格破壊が犯人と、私も思いこんでいたところ、「第2章通説を疑う」-「デフレの犯人は結局誰だったのか」で数字による論証は、勉強になった。

 「第3章経済効果を疑う」は、シンクタンクに対する痛烈な皮肉。なら、シンクタンクを脱皮した先には何があるのだろう。解は、シンクタンク自身が考え抜かなければならないだろうし、シンクタンクが発信する情報の真贋を見抜くことが、マスコミに課された宿題であり、情報消費者にも同様の課題。

 第四章「もう統計にはだまされない - 統計のクセ、バイアスを理解する」。日本のことと、中国を初めとするBRICsとを、同じ1つの章に入れ込むという構成は落ち着かない。BRICsの統計事情は、編集上、章として独立させるべきではなかったか。

 第五章「公式統計には表れない地下経済」。いわゆる informal sector に関する考察。推計ではなく guestimation の域を出ないもの。