団塊世代の退職による消費経済波及効果

 電通のニュースリースから。

2006.03.30 団塊世代の退職による消費経済波及効果について

 株式会社電通消費者研究センターでは、団塊世代の退職に関連して発生する消費規模並びに経済波及効果を独自のアンケート調査結果を基に推計した。
 その結果、団塊世代の退職による消費押し上げ規模は、退職前の準備期間で約1兆1,775億円、退職後では約6兆5,987億円、合計で約7兆7,762億円に達すると推計された。

 「独自のアンケート」とは。

電通退職市場調査 実施概要>
調査対象者:1都3県に在住する団塊世代の男性200名、団塊世代男性を夫に持つ女性
調査方法:インターネット調査
調査時期;2006年2月
主な調査項目:退職が誘引する消費行動、予定額、純粋に退職によるかどうか 他

 「ネット調査」がどんなものかさっぱりわからないが、電通トレンドボックストピックスの多くは、

20代:100サンプル/30代:100サンプル/40代:100サンプル/50代:100サンプル
(各年代とも男性50サンプル、女性50サンプル)

という調査に基づいている。男女、年齢階級ごとに標本の大きさが一定だと、先着式投票アンケートの臭いがする。

 しかも、「ネット調査」の対象は、賃金や物価の水準が高い1都3県。これによる投票アンケートの結果を

<退職団塊世代の定義>
1947〜51年生まれの正規就業男性に限定
人口推計、就業構造基本調査(ともに総務省)より、団塊退職者数を約332万人と推計

というように全国に引き延ばしている。

 で、このニュースリリースの結論は、

 さらに、上記の直接的な消費押し上げ効果は、さまざまな部品調達や物流などを通じて、中期的にはその約2.0倍の約15兆3,233億円の政策を最終的に誘発するものと予測される。

 最後には、この「波及効果」のGDP比まで算出している。

 GDPの約6割を占める国内個人消費だが、その額は約300兆円/年。団塊世代のリタイヤ時期が5年間続くとして、GDPの約0.6%引き上げに相当する。

 おそらく、GDP総額500兆 × 5年 × 0.6% = 15兆 を言いたいのだろうけれども、5年15兆円というのが妥当かどうかは、この調査において消費行動、予定額の期間対象をどのように定義した上で実施したものが明らかにされていないので、判断のしようがない。