モニター調査が持つ回答者の偏り

 モニター調査と(無作為抽出)標本調査の違いが顕著に現れた例。本日の日経から。

裁判員制度、国政モニターは「参加したい」が6割

 今年2月の内閣府世論調査で7割が「参加したくない」と答えた裁判員制度について、国政モニターは約6割が「参加したい」と答えたことが29日、わかった。

 無作為抽出する世論調査と違い、国政モニターは公募による選定。落差のある調査結果に、法務省刑事局は「国の施策に関心の高い層だからとみられるが、2009年の制度開始時には無作為に聞いても同様の結果になってほしい」と話している。

 「公募による選定」というよりも、むしろ記事にあるように、国の施策に関心の高い人々が国に意見を言うために登録して成立しているわけであり、モニターの集計結果はこのように偏るものなのである。

 同じモニター調査で、人事院国家公務員倫理審査会の「国家公務員に関するモニター」による調査も先日公表されたが、13日の日経は、この調査の報道では、モニター調査であるか標本調査であるかの区別が付かない形で報道をしていた。このような報道態度は、いかがなものだろうか。

天下り見直すべき」52.8%・人事院がアンケート

 人事院は13日、国家公務員に関するアンケートの調査結果を公表した。公務員制度で見直すべき課題(複数回答)として最も多かったのは「天下り」で52.8%。民間企業へ当然のように再就職する風潮への風当たりは強かった。

 (中略)

 調査は4月に全国の20歳以上の男女500人を対象に実施。98.8%が回答した。

 ところで、回答率98.8%とは、驚異的といってもよい。モニター調査だとすると、モニターは全国に散在するから調査員方式は現実的でなく、おそらく郵便などによる通信調査となるが、いくらモラールが高いモニターであったとしても...

 ちなみに、昨年度の同モニターの平成16(2004)年度の3回の回収率(モニター数500)は、99.8%(499人)→97.4%(487人)→95.8%(479人)だったらしい。