「有効だとの証拠はないが、有効でないとの立証もない」

 保健政策とEBM(Evidence Based Medicine)の関係に関する好例。毎日新聞から

 胸部X線:健康診断で廃止検討、有効性に疑問 厚労省
 胸の病気の早期発見を名目に毎年1回、職場の健康診断で実施されている胸のエックス線検査について、厚生労働省は法的義務付け廃止の検討に入った。検査の有効性を示す証拠がないためだ。…しかし廃止で1000億円規模の影響が出るとみられる業界は、…猛反発。日本医師会の委員も同調しており、最終調整は難航しそうだ。
 (全国労働衛生団体)連合会副会長の柚木孝士委員は、…「(個々の病気の発見法としては)優れた検査法とする根拠は乏しい」と認めながら「有効性が低いとする根拠は確立されていない」と存続を訴えている。

 新聞記事では単純な二項対立的図式でしか書いていないかもしれないし、かといって厚労省検討会資料をじっくり読む余裕も知見もあるわけではないが、今後の動きを見守りたい。

 ただ、結核予防法の一部を改正する法律で目指していた、健康診断を効率的・効果的に実施するというもくろみを、こんな風な延長戦で引っ張るというのは格好が悪い。法改正時点に関係者合意形成を一気にやるべきだったのだろうに。