世代の持つ文化

 余暇の過ごし方のメディアは、世代により、本からラジオ、そしてテレビへと変遷し、テレビの中でもその内容は、歌謡曲からドラマ、アニメ、アニメからビデオゲームへ、と、変遷している。

 歌謡曲は多様化し、ミリオンセラーでも一部の人以外のはよくわからないという楽曲が続出。NHK紅白歌合戦で家族が世代をまたがって”共有”できる歌はわずかしかない。多様化とは耳障りのよいものの言い方で、皮肉に言えば嗜好がタコ壺化しているのである。世代の分断。

 余暇の過ごし方の多様化が広告に与えた変化は、現在購買力を持っている世代に対して、彼・彼女らが刷り込まれているアニメキャラが媚びを売るという状況を作っている。ど根性ガエルTシャツを着て飲酒するヒロシなんて、考えてもみなかった。

 メディアの変遷はインターネットに移りつつあり、そこから生まれた「萌え」という危うい言葉を、経済評論家が説くにまで時代は至る。

 旗色の悪いNHKの、旗色の悪い紅白歌合戦。この番組もご多分に漏れずずいぶん大衆迎合的だが、

 (美川憲一が自分の歌を歌い終わってから)最後に「来年は自分の力で勝ち組になるのよ! がんばれ」とメッセージを送った。「若者に『地に足をつけていけばいい』という気持ちで言った。エールを送られる人が多く、いい紅白ね」とご機嫌だった。

という くだり が好きである(スポーツ報知 - 1月1日)。人から人への気持ち、という基本、良心を見つけることができる。あらゆるものが多様化しても、そういうことを大事に受け止めることできるなら。