血液型性格判断を授業に導入する沖縄県立普天間高校

 平成27年度「英語教育実施状況調査」の結果についてに関して、現地取材をした 日経新聞 の16日(土)から。(以下、赤太文字は、筆者による。)

「英語立県」沖縄 本当に最下位?
高校生英語力調査 英検準2級取得は多く 教員の主観影響も

 文部科学省が4月、都道府県別の成績を初公表した公立高校生の英語力調査で、沖縄県が最下位になった。同県は「英語立県」を掲げて指導に力を入れてきており、「まさかの結果」(県教育委員会)だった。調査手法や県別順位の公表には専門家などからも疑問視する声が上がる。しかし、同省は効果が期待できるとして来年度以降も公表を続ける考えだ。

 米軍普天間基地沖縄県宜野湾市)に近い県立普天間高校(同市)の1年生の英語の授業。「Talk about your blood type.」。生徒はペアになり、互いの血液型や性格を聞き出す。日本人が苦手な「話す」力の指導に重点を置き、日本語はほとんど聞こえない。

 この記事は、いろんな意味で、ひどい。

 文部科学省が公表している都道府県別結果は、記事が言う「県別順位」(相対評価)ではなく、絶対評価可能な数値である。

 特に、沖縄県を最下位としているのは、以下の(e)である。

(a) 普通科等の高等学校第3学年に所属している生徒数
(b) (a)の内,英検を受験したことがある生徒数
(c) (b)の内,英検準2級以上を取得している生徒数
(d) (a)の内,英検準2級以上相当の英語力を有すると思われる生徒数[(c)以外]
(e) (c)+(d)/(e)

 教員の主観が入るものであり、このデータの客観性が疑われる。

 英語以前に、科学的根拠のない血液型性格判断を教育の場に持ち込んでいる沖縄県立高校、県教育委員会。そして、そのことについて、疑問を差し挟むことなく記事を書いている新聞社の記者とデスク。これらの人々は、教育に従事したり、教育を語る資格があるのだろうか。

問題は、文字数

 「ウェブサイト」や「ソーシャルメディア」という言葉を、マスメディアは、なぜだか、それぞれ、ホームページ、SNSと、言いたがる(書きたがる)。

 その理由は。

 HPやSNSと表記すれば、文字数を最小限に抑えることができるから。ウェブサイト(6文字)やソーシャルメディア(9文字)を、アルファベット2文字、3文字で済ませておきたい、というインセンティブが働いているのだ。横書き媒体なら、英字を、全角でなく半角で表せばなおさら省力化。

 米国、英国、などと表記されることが廃(すた)れないのも、文字数問題があるからこそ。

共働きと虐待の関係

 こんな見出しのウェブ記事。

共働き家庭ほど虐待は少ない  通説と逆の結果が出た - 被害率最低は鹿児島、最高は大阪。育児の孤立化がリスクになる
日経DUAL 子育て・教育2014.05.09
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=2612

 何だか違和感。

 「共働き家庭ほど虐待は少ない  通説と逆の結果が出た」

っていうことは、通説とは

 「共働き家庭ほど虐待は多い」

ということ?


 両者の関係について、散布図を引用する。

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資料:厚労省福祉行政報告例』(2012年)、総務省『人口推計年報』(2012年)、総務省『就業構造基本調査』(2012年)

  • 共働き世帯率が高い県ほど虐待被害率は低い

 撹乱(かくらん)はありますが、共働き世帯率が高い県ほど虐待被害率が低い傾向がみられます。回帰直線は右下がりです。相関係数は-0.499であり、1%水準で有意であると判定されます。ほう、通説とは逆の結果が出ましたね。

 1%有意 なのですか。それにしたって、絶対値0.5では相関としてはゆるい。

 このグラフ自体、なんだか居心地悪い。

 あてがわれている傾向線が、何だか変。
紫色ゾーンにある5府県を除外して傾向線を描いているような気がする。

 それにこのグラフ、横軸に波線を噛ませることをしておらず、目盛りにおける原点の扱いも危なっかしい。

 グラフを加工させてもらう。それがこれ。

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 傾向線の負の傾きは、たぶんもっと右肩下がりになるようになるのではないか。


 横軸「幼子がいる核家族世帯の共働き率(%)」については、「6歳未満の幼子がいる核家族世帯のうち、夫婦共に就業している『共働き世帯』の比率」であることの説明がある。

 しかし、縦軸「幼児の虐待被害率(1万人当たりの件数)」は、なんなのだろう。その説明が不十分。被虐待者のうちその年齢が学齢未満のものを、学齢年齢未満の推計人口で割ったのだろうか。実は、ここら辺の数字は、利用可能な統計データの定義を厳格に解釈すると入手不能なものが現れてくる。それを押して、データがどのように構成されているのかをキッチリ推測、再現しようとする気力が、今の私には意欲が湧かないので、断念。

 思うのは、共働きと虐待の間には、直接的な関係があるのではなく、両者の間に第三の要因、交絡要因があるのではないか。QoLの高い北陸地方の県は、著者が作った散布図の中野どこにポイントされるものなのか、興味がある。

そこじゃない、と一瞬思ったけれど、…

 「男女共同参画・女性活躍の推進に向けた重点取組事項について」(平成28年5月13日 男女共同参画会議

 …来年度予算等に反映することにより重点的に進めるべき具体策について、男女共同参画社会基本法第22条第3号に基づき、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、以下の取組を求める。

<旧姓の通称としての使用の拡大>
内閣総理大臣内閣府特命担当大臣男女共同参画))、総務大臣外務大臣、全大臣】

 社会において、旧姓を通称として使用しながら活動する女性が増加している中、様々な活動の場面で旧姓を通称としてより使用しやすくなるよう、制度の周知を含め、通称使用の拡大の取組を進めるべきである。

 このため、住民基本台帳法施行令等を改正し、住民基本台帳及びそれに連動するマイナンバーカードに本人からの届出により旧姓を併記することが可能となるよう、速やかに必要な準備を進めるとともに、国際的身分証明書であるパスポートについて、既に一部認められている旧姓併記の条件緩和の可能性につき検討すべきである。

 また、国家公務員の旧姓使用が可能となる範囲の拡大を検討するとともに、地方公務員が旧姓使用しやすくなるよう地方公共団体に働きかけるべきである。

 さらに、通称使用の実態、公的証明書や各種国家資格制度における現状と課題について調査検討を行い、その結果を踏まえ、企業や団体等への働きかけを含め、必要な取組を進めるべきである。

 旧姓通称使用の拡大を推し進めるということは、夫婦同姓を是認してるだけでは。

 こないだの最高裁における判決理由を踏まえれば、もっと、別のことを言えたはず。(以下、着色は筆者による)

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/546/085546_hanrei.pdf

平成26年(オ)第1023号 損害賠償請求事件
平成27年12月16日 大法廷判決

主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

理 由
上告代理人榊原富士子ほかの上告理由について

第1 事案の概要
1 本件は,上告人らが,夫婦が婚姻の際に定めるところに従い夫又は妻の氏を称すると定める民法750条の規定(以下「本件規定」という。)憲法13条,14条1項,24条1項及び2項等に違反すると主張し,本件規定を改廃する立法措置をとらないという立法不作為の違法を理由に,被上告人に対し,国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求める事案である。

4 以上の観点から,本件規定の憲法24条適合性について検討する。

(1)…したがって,本件規定は,憲法24条に違反するものではない

(2) なお,論旨には,夫婦同氏制を規制と捉えた上,これよりも規制の程度の小さい氏に係る制度(例えば,夫婦別氏を希望する者にこれを可能とするいわゆる選択的夫婦別氏制)を採る余地がある点についての指摘をする部分があるところ,上記(1)の判断は,そのような制度に合理性がないと断ずるものではない。上記のとおり,夫婦同氏制の採用については,嫡出子の仕組みなどの婚姻制度や氏の在り方に対する社会の受け止め方に依拠するところが少なくなく,この点の状況に関する判断を含め,この種の制度の在り方は,国会で論ぜられ,判断されるべき事柄にほかならないというべきである。

 ところが、ハタと気が付いた。

 男女共同参画会議は、行政、でした。行政は、立法の下で仕事をする、のでした。

役所の英語、中国語

 朝日新聞4月27日[http://digital.asahi.com/articles/ASJ4T5DB4J4TUTIL04W.html?_requesturl=articles%2FASJ4T5DB4J4TUTIL04W.html:title=文科省「グローバル大」構想に不満続々 「まるで詐欺」
]の記事の中で、その不満の一つとして、和文と英文のちぐはぐさが言われていた(以下、着色は筆者による)

 大学の国際競争力強化を狙った「スーパーグローバル大学」(SGU)構想。文部科学省の肝いりで始まったが、選ばれた大
学が不満を募らせている。国の支援が想定より少ない上、予定していなかった仕事も次々発生しているからだ。

(中略)

 各大学に昨秋、文科省からメールが届いた。会議やシンポジウムでは、「SGU」ではなく正式名称を使うようにとの内容だった。札幌学院大が「SGU」を商標登録しており、「SGUを使用した場合、商標権を侵害」と書かれていた。東日本の大学の担当者は「印刷物を刷り直すはめになった。完全に余計な出費。最初に調べておいてほしい」と怒る。

 さらに、文科省の定める英語での呼称は「トップグローバル」大学。「スーパーグローバル」は英語では普通は使わない表現だからだ。西日本の大学の担当者は「なんで国内向けはわざわざ妙な名前にするのか。海外向けに翻訳する際、直す手間がバカにならない」とあきれる。

 テレビ番組で英会話講師を務める鳥飼玖美子・中央教育研究所理事は「英語では、『グローバル市民』なら国連などでも使っているが、『スーパーグローバル』なんて言い方はしない。『トップグローバル大学』と言えないことはないが、あまり聞かない」。事業自体についても、「そもそも海外ではグローバル人材という概念がないし、グローバル化は否定的にとらえられることもある。グローバル人材育成という発想が、グローバルでない」と指摘する。

 日本学術振興会のページを見ると、なるほど。

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スーパーグローバル大学創成支援
Top Global University Project

 他にもこのような話はあって。

一億総活躍担当
Minister for Promoting Dynamic Engagement of All Citizens
一亿总活跃担当

内閣府特命担当大臣(地方創生)
Minister in charge of Overcoming Population Decline and Vitalizing Local Economy in Japan
地方创生担当

 中国語は、漢字はそのまんま。
それでは、カタカナ語はどう?へえ、そう書くんだ。

クールジャパン戦略
Minister in charge of "Cool Japan" Strategy
“酷日本”战略担当

ダブルケア人口の推計基データ

 ダブルケアに関して、25万人いる、と推計したとされる内閣府。その元ネタは、男女共同参画局の「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書」によるもの。

http://www.gender.go.jp/research/kenkyu/wcare_research.html

内閣府委託調査
平成 27 年度 育児と介護のダブルケアの実態に関する調査 報告書
平成28年3月
株式会社 NTT NTTデータ経営研究所

3. ダブルケア人口・世帯の推計

3.1. ダブルケア人口・世帯の推計方法

 育児と介護を同時に行うダブルケアを行う世帯・人口の推計は、総務省「就業構造基本調査」(平成 24 年)及び国民生活基礎調査(世帯票、平成 13 年、平成 19 年、平成 25 年)の個票を用いて推計を行 った。

 就業構造基本調査では、初めて育児ならびに介護に関する設問が付加された平成 24 年調査の個票デ ータを基に、ダブルケア人口を推計するとともに、その基本属性、就業状況について集計を行った。

 国民生活基礎調査(世帯票)では、ダブルケアを行う世帯数の推計を行うとともに、被介護者の状況等、就業構造基本調査では把握できないダブルケアを行う世帯を取り巻く実態について集計を行った。 更に、推計にあたっては、平成 13 年、平成 19 年、平成 25 年の経年比較を行った。

 就業構造基本調査と国民生活基礎調査(世帯票)の違いは、前者は、サンプル100万人を対象に人口(個人)を、後者は、サンプル30万世帯を対象に世帯を、それぞれ推計したもの、ということ。

資料源をたどれない記事は、ただの吊りだ。

 読売オンライン地域版だけが報じている、以下の記事。

「前向き感情で認知症減」 長寿研、4年間追跡
2016年04月16日
 幸福感や満足感など、前向きな感情を強く持つ人ほど、認知症になるリスクが減る――。国立長寿医療研究センター大府市)が15日、県内の6自治体に住む65歳以上の高齢者を対象にした研究結果を発表した。
 同センターは2003年に、「普段は気分が良いですか」「自分は幸せなほうだと思いますか」など前向きな感情を尋ねる5項目の調査(回答率52・6%)を実施。回答を得た約1万4000人のその後の4年間を追跡調査し、認知症の発症の有無と、前向きな感情との関連を調べた。

 その結果、認知症を発症した約800人と発症しなかった残りの回答者との調査時の回答を分析したところ、前向きな感情を尋ねた質問で「はい」と答えた割合が高い人ほど認知症になるリスクは減った。5項目全てに「はい」と答えた高齢者は、「はい」と答えた項目がゼロだった高齢者と比べて、認知症になるリスクが、男性で約50%、女性で約70%も減っていた。おおよそ「はい」の項目が一つ増えるごとに、リスクは21~13%減少していたという。

 長寿研が15日発表、とあるが、長寿研サイトを訪ねてもそんなリリースは見当たらない。

 発表の事実を確認できないし、記事の中身の検証もできない。

 成果還元、発信が、中途半端な研究独法