政策の認知と広報に関する調査レポート(日本リサーチセンター)

 以下は、一見、興味深い調査であるが、この調査はどれだけ調査対象者の実態に迫ることができるのだろうか。情報があふれている中で、政府が行う広報に普段どれだけ注意を払っているんだろうね。

政策の認知と広報に関する調査レポート

公表日 2010年9月24日

 株式会社日本リサーチセンター(本社:東京都中央区代表取締役社長:鈴木稲博)は、政治や政策に関する自主調査の一環として、20歳から69歳の自社のネットリサーチパネル(CyberPanel)に対して、主要な政策の認知状況や政策に関する情報の充足度に関する調査を実施しました。

 政権交代から1年、いくつかの政策が打ち出されてきましたが、子ども手当てで未申請者が約30万人にのぼることが最近になって明らかになり、広報不足について指摘する声も出ています。

 本調査では、有権者の政策理解度、政策についての情報満足度、政策に関する情報ニーズなどについて調査しました。以下にその主な内容をご紹介いたします。


1. 政策について、「政策の狙い」「最低限知っておかねばならないこと」
  「対象者以外への理解」なども知りたい有権者

有権者の政治への関心は非常に高く(80.3%)、主な政策の認知も高い状況にある( (2) )。しかし、認知が高い政策ほど、より詳しく知りたいというポイントが高い( (3) )。知りたい内容としては「政策の狙い」「詳しい内容」「最低限知っておかねばならないこと」などが上位となった( (4) )。

 (略)

2. 政府広報の量が十分と答えた人は、全体の約1割

政策などに関する情報について、政府広報の量が「十分だ」とする人は10.2%しかなく、逆に「十分でない」とする人が52.3%と過半数を超えている( (1) )。一方、マスコミ報道では、量の面で「十分である」とした人は23.3%、「十分でない」とする人は38.7%と政府広報よりはやや少ないものの、質の面では56.7%が「十分でない」と答えており、報道の量ではカバーできない情報の質があることを示している。一般的にマスコミ報道では、話題性を追いかける傾向があり、またマスコミの視点で情報が選択される傾向があるので、マスコミ報道でカバーできない情報を有権者が求めているのではないかと考えられる。<<

 (略)

3. 今後の政府広報は、「途中経過の報告」「賛否のある政策の納得感」なども範疇に

政府広報が今後取り組むべきことは、「途中経過の報告」や「賛否があることの納得感を高めること」 「意見を聞く公開の場を設けること」など多岐にわたる要望があった( (1) )。

情報の主な取得場所はテレビ・新聞が圧倒的な地位を占めており( (2) )、政府広報で使って欲しい媒体も同様に、テレビと新聞が圧倒的に高く、次いでインターネットと続いている( (3) )。

 (略)


調査の概要
(1) 調査手法: インターネット調査
(日本リサーチセンター インターネットパネル・Cyber Panel)
(2) 調査対象: 全国の20歳−69歳男女
1,000サンプル(男女・年代で10セル、全国5ブロックの地域×性×年代による50セルの均等割付)
(3) 実施期間: 2010年9月7日(火)〜9月9日(木)
(4) 調査実施: (株)日本リサーチセンター

※本レポートの数字は、人口構成比に応じたウェイトバックした数字を使用しています。

 他人に聞かれたときに答える内容と、本人の実際の行動、意識は、一致するものとは限らない。(表明選好顕示選好、という専門用語も、ある。)

 この調査結果を解釈するには、建前では政府広報に関心を示しているようにして、本音では何にも考えてなくて単に日頃の漠然とした不満を「広報が不十分」としか言っていない、という側面にある程度気をつけなければならない。

 ところで、この調査は、インターネットパネルで行われている。すなわち、調査対象者は、インターネット利用者であり、かつ、ネット調査に登録をしている(「パネル」)人たちの特質を想像すると、情報消費意欲がより旺盛で積極的な層と思える。

 そんな人たちであっても、情報源として期待するメディアがテレビ、新聞、であるというのは、興味深い。

 必要なら、自分でネットに探しに行けるという手段を持っているんだろうに、その方法を行使しているのだろうか。役所だって、情報公開、説明責任、ということで、その気になればそれなりの情報を取りに行くことはできる。

 広報に必要なのは、単に情報がそこにあるだけでなく、関心事項に関する道案内役の存在が望まれるのだろうし、またその上で、また国民自身が、情報を探すための手間を惜しまないことと情報を掘り当てる嗅覚を磨くことも要求される。さらには、声を上げて、メール、電話で問い合わせて、自らのニーズを政府にアピールすることも必要。