「ホメオパシーは癒し」(日本ホメオパシー医学会)

 「ホメオパシーは癒し」と訴えている日本ホメオパシー医学会一連の報道と日本学術会議会長談話を受けての当学会の見解は、統合医療ガイドブックの主張「ホメオパシーを実践するものは一流の医師、歯科医師、獣医師でなければなりません。」に通じるものがある。(着色等は、筆者による。)

一連の報道と日本学術会議会長談話を受けての当学会の見解(抄)

 身体はともかく心と生命については科学がこれを十分には解明していない現在、これらに働きかける代替療法が十分な科学的根拠を備えるわけにはいきません。これは代替療法の責任でなくまだその域に達していない科学のほうにこそ責任があるのです。

 代替療法を用いる場合は科学的根拠には難があることをしっかり押えた上での広い視野と謙虚さが要求されます。

 医療とはそもそも、イコール医学ではありません。医学は科学およびそこから生まれた技術であるのに対して、医療とは患者を中心に家族、友人、さまざまな医療者が織りなす“場”の営みです。医学はもちろん重要ですが“場”に温もりが与えられて、“治し”と“癒し”が統合されてはじめて本来の医療です。

 この癒しを担当するのが代替療法とお考え頂ければよいと思います。治しを担当する西洋医学とは同列には論じられませんが、こと医療となると大事な役割を果たしているのです。最近の医療現場はなんとなく殺伐としています。医療とはもっと患者にやさしいものであるはずです。

 以上のような理由で、私たちは代替療法の存在意義を認め、なかんずく心身に対するやさしさでは最右翼に位置するホメオパシーを日本の医療のなかに弘めるべく日夜努力を重ねている次第です。どうか暖かいかつ厳しい眼で見守って頂きたいと思います

 「代替医療」に科学的根拠に難があることを認めておきながら、どうしてホメオパシーが心身に対してやさしい癒しである、しかも、最右翼、と言うことができるのか。

 論理に飛躍がある。

 ホメオパシー医学会サイトには、ホメオパシーを行うにあたってのインフォームド・コンセント同意書の例があり、患者・同意者による署名・捺印欄が設けられている。

 そもそも、この様式にある「治療内容」がどのようなものなのか。一番大事なところが、書かれていない。

この度、貴院において、私がホメオパシーを利用するにあたり、担当医師
からホメオパシーの治療内容について十分な説明を受け、かつ理解しました
ので、ホメオパシーによる治療の実施に同意します。

 アボガドロ数といった化学的知識を持っている者にはとうてい理解できないホメオパシー。患者さん、同意者さんには、理解してもらおうといったって、どうすることができるのだろうか。

 倫理綱領に至っては、条文ごとに、突っこみどころがある。