ガラパゴス化する日本の製造業 宮崎智彦 東洋経済新報社

ガラパゴス化する日本の製造業

 この本が警鐘を鳴らすのは、書名の本題の「ガラパゴス化」のことよりも、むしろ、副題に付いている「産業構造を破壊するアジア企業の脅威」の方。

 日本や韓国の垂直統合モデルに対して、米・台アライアンスによる水平分業モデルが強い競争力を発揮してる。俎上に上るのは、ケータイにとどまらず、液晶テレビや、ロジック半導体、カーナビ、太陽光発電など。

 総合家電、総合エレクトロニクスという巨象が割拠する日本は、この変化に耐えられるのか。

 最終章は、日本株式会社の最後の砦(とりで)である自動車産業にまでもその脅威が及びつつあることを予言する。

 解決策は、個々の製造業の会社の問題ではなく、雇用や個人の行動、そして、税制、知的財産を含む法制度。すなわち、国家間制度間競争としてとらえられるべき。