ネット接続しなければ使用可、と言っていい?Win 98/MeのPC

 IT Mediaの記事「98/Meは使うな、どうしても使うならネットワークにつなぐな」。製品を具体的に名指しして使用停止を求めるという、ある意味、画期的なもの。

 この記事のネタ元、独立行政法人 情報処理推進機構IPA)は、その立場上、そこまで直接的な言い方はしておらず、かなり慎重な間接的な表現をしている。もっとも、言っている内容は、同じことになるのだが。

 IPAの2日のリリースから。

コンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況 4月分 について

 独立行政法人 情報処理推進機構(略称 IPA、理事長:藤原 武平太)は、2007年4月のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況をまとめました。
(届出状況の詳細PDF資料はこちら)

今月の呼びかけ:

 「 サポートが終了したOSを搭載したPCの危険性を認識しよう!! 」

――― ぜい弱性(*1)が解消できず、被害に遭う可能性が極めて高い!! ―――

 現在、一般で広く利用されている PC の OS (オペレーティングシステム)として、Windows XP、2000、98/Me 等がありますが、Windows 98/Me は2006年7月に製造元のサポートが終了しています。

 したがって、サポートが終了した OS を搭載した PC を利用するということは、上述したように非常に危険な行為であるということをよく理解していただき、できることなら使用しないことが望ましいです。どうしてもお使いになりたい場合は、インターネットはもとより社内や家庭のネットワークにも接続しない状態で利用することをお勧めします。

(太字は、筆者による。)

 IPAにせよ、それを翻訳するメディアにせよ、「どうしても使うならネットワークにつなぐな」は、甘いんでないだろうか。ネットワークにつながないならサポート切れOSのPCを使ってもいいです、と免罪符を与えていいものなのか。

 ネット接続していなくても、複数の人が共用するPC、すなわち、複数の人の記録媒体を読み書きするPCは、ネットワークにつないだPCに準ずるものと思うが、そのことに対する目配りが欠けている。

 記録媒体の入出力さえしないという前提の下でPCを使え、とするならば、さすがに問題はないはずである。しかし、そこまで極端にしたPCの使い方は、PCの有効な使い方とはおよそ思えない。*1

 単に「使うな、さもなくば、サポートの有効なOSのPCに買い換えろ。」じゃないか。それが手っ取り早いし、そもそも、そんなPC、むちゃくちゃ処理速度遅いでしょ。

 もっとも、ここで留意すべきは、そんな「古い」パソコンを回収して、市民活動や途上国などで活用しようとする集団に対する配慮である。

 98/MeをOSに持つPCも、それなりの処理速度はあるのである。そんなPCを蘇(よみがえ)らせる、フリーのセキュアな OS をあてがうことはできないものか。

 Linuxもかなりリソースを要求するOSになってしまっている。軽いOSはないもんだろうか。

*1:もちろん、測定機器のパーツとしてのPCで十分、とか、新しいOSではサポートされないアプリを使い続けるニーズ、といった限定された使用方法はあるが、そのようなケースについては、本稿では議論の単純化のために入り込みません。あしからず、ご了承下さい。