R25の雑学

 フリーマガジンR25 2006 5.18 No.93 19ページに、「雑学:2000人規模でも"世論" アンケートは何人に聞けば信頼できるデータになる?」(石田知之)がある。

 [例題]n人から得た回答の結果、内閣支持率が50%だったときの誤差は?
 n=2000のとき … 誤差は約4%で、48〜52% の範囲に収まる。
 … つまりアンケートで何人に聞けばいいのかは、誤差をどこまで許すのかと同じこと。

 かなりおおざっぱだが、この手の雑誌がこういうことを取り上げることは、すばらしい。

 しかも、こんな警句をつけている。

 信頼できる調査結果には

  • 「何人から回答を得たか」と
  • 「調査方法は何か(無作為抽出か、そうでないか)」

が必ず併記されています。プレゼンなどで統計データを引用するとき、この2点はしっかり確認しましょう。

 この警句を、R25誌が掲載する統計データに当てはめようとすると、たとえば、この統計に関する「雑学」の直前にある「雑学:次なるモテ男のトレンドが登場! メトロセクシャルの進化系"極上男"って何だ?」にある統計

 あなたがなりたい『理想の男』の第一条件は?

 調査協力:Yahoo!オークションYahoo!モバイル

 これって、意見投票にすぎず、統計なんかではございませんでした。

 ところで、「雑学:2000人規模でも"世論"」の挿絵写真には、国勢調査調査票があしらわれており、挿絵説明文には、

 国勢調査ももちろん統計の一つ。

 国勢調査は標本調査とは違うんだけど、ね。説明文はさらに続き、以下のような統計について突っ込んだ記述が。

 失業率*1や平均寿命*2などは、この国勢調査が基礎になるので、「ウソの申告をしてはいけない」と法律でキッチリ決められています*3

 最近の統計にまつわる話題。

 八都県市首脳会議は、第49回会議の1 (6)にて「国勢調査の調査方法等の抜本的な見直しについて」。

 毎日新聞21日記事は、政府世論調査:回収率、5割台に低下 個人情報保護法が影響を報じる。

 政府が国民意識を探る目的で実施している各種世論調査(面接)の回収率が、昨年秋以降、軒並み前回の7割前後から5割台に急落した。「なぜ住所が分かったのか」などの拒否反応が増えたためで、調査を所管する内閣府は、昨年4月に全面施行された個人情報保護法の影響もあるとみている。同法のマイナス効果とも言える現象に、調査の精度低下への懸念も出ている。

*1:国勢調査の統計的成果は、労働力調査などの標本調査に関する標本設計枠を提供している。その他世論調査や、ビデオリサーチの視聴率調査も例外ではない。

*2:国勢調査を元に、厚生労働省完全生命表を作成。

*3:統計法第19条