足の引っ張り合い

電波利権 (新潮新書)
 新潮新書「電波利権」(池田信夫)は、買ってすぐに読んでしまった。すっげー、面白かった。私の関心領域の襞ヒダにしみこみました。

 池田信夫氏は、本の奥付を見ながら思い出したが、政府系研究機関在職中にお上の怒りに触れて職を追われてしまった人であり、主張内容は筋が通っているところがあると私の記憶にあった方。元々は NHK の方。

 本の内容として、歴史、経済、政治、技術とバランスが取れていると思う(NHK改革での彼の持論のくだりはユニークだったけど)。

 私がラジオを持って訪ねたアメリカや韓国、タイなど、ラジオ放送局の数は、豊富にあるのに、日本にはどうしてかくも放送局が少ないのか。

 本書では、既得権を有する既存局が潰しをかけてだけ、という見立て。業界総体を外から見たら、業界が足を引っ張り合って、相互監視して縮小均衡してるという事情。

 テレビの高品位化、すなわちハイビジョン、デジタル放送については、テレビ、新聞には決して出てこようにもない話。著者のウェブサイトhttp://www003.upp.so-net.ne.jp/ikeda/owarai.htmlの内容を、本に凝縮している。

 私が d:id:hottokei:20050530 で触れたNHK技研の存在について、著者も意見をお持ちの様子。