拝見させていただいた

 高齢化の進むTBSラジオのパーソナリティ諸氏。

 今日で、「秋山ちえ子の日曜談話室」が終わってしまい、彼女の通算57年のラジオ生活も一区切り。

 TBSラジオ平日朝の森本毅郎氏も、実は、既に結構なお年なのだけど、彼を継承しうると思っているのが、土曜朝の中村尚登ニュースプラザ。

 ところで、10月1日の中村アナの放送、サタデートーク阿木燿子の回)で
インタビュー開始1分しないところでの彼の言葉、

 さっき稽古の様子、 拝見 させて いただいたのですけれど

に、一瞬、目が点、でなくて、耳が点。

 これは、二重謙譲語であり、おかしい。中村アナのような方までも「させていただく」症候群を罹患しているとは軽い驚き。

 それを言うなら、

 拝見したのですが

or

 見させていただいたのですが

の方が、日本語として正しいのでは。


 させていただく

という言葉遣いが蔓延している。

 させていただく、とは、話し相手に許可を求める、暗黙に許しを請う、ものであり、そのことにより、へりくだる敬語、すなわち、謙譲語であると私は理解している。

 このような言葉が持つ働きを、考えなしに、みやみやたらに使っている例が、目に、ではなく、耳に余るようになっている。

 会議やプレゼンテーション、説明会では、発表者が話しをすることが前提です。お話ししてもらわなければ、文字通り話しにならない。

 にも、かかわらず、

 ご紹介させていただきます

 ご説明させていただきます

 
と言われると、

 いやです。そうはさせません。

と、つっこみを入れたくなる( 永六輔 風に)

 そのような場合、単に、

 ご紹介します。

 ご説明します。

と言えばよいのある。接頭語「ご」があるだけで、十分丁寧である。

 もし、へりくだる必要があるのなら、

 ご紹介申し上げます。

 ご説明申し上げます。

と言えばよいのである。