意見投票を世論と称する愚

 過激な数字なら節操なくマスコミは記事にする。

 以下はSankei Webから引用。この記事のもとは共同通信であり、NIKKEI NETも同じ文言で配信している。

60%が「日中は再び戦争」 中国誌のネット調査

 中国の週刊誌「中国新聞周刊」の15日付最新号は、同誌が企画したインターネットによる世論調査で、日中関係の将来について中国人の約60%が「日中両国は資源をめぐり再び戦争になる」と回答した、と伝えた。

 ネットの利用者は20代などの若年層が多く、同世代に根強い過激な反日感情を反映しているとみられる。

 今月行われた調査には約7万6000人が回答。日本と聞いた際に「危険な軍国主義国家を連想する」と約80%が回答。約95%は「日本の軍国主義が復活する可能性が高い」と述べ、さらに約55%は「日本政府が正式に謝罪しても永遠に信用しない」と断じた。
(共同)

 記事執筆者が記事本文中で「ネット調査」であることを注意を促している。この注記をつけたことは 百歩譲って 評価してあげるにしても、それでも不十分さを否めない。

 「ネット調査」への参加者は、わざわざ意見を出したい者による「意見投票」が実態というパターンが多い。そして「意見投票」のテーマによっては、おうおうにして偏った結果になる。

 それがわかっているならば、こんなことに報道に値するかどうかの判断は付くはずだろうに。*1

 『60%が「日中は再び戦争」』という見出しを付けるセンスに至っては、記者の見識に疑問符が付く。日刊ゲンダイ夕刊フジのノリと、同類ではないか。

 調査論的な意義のために、asahi.comのWEB投票ページにある注記文言をここに改めて引用させてもらう。

 この投票は統計的な手法に基づくものではなく、結果が世論を正確に反映しているものではありません。

*1:振り返れば、日本の新聞社も自社や委託によるネット調査結果を基に書く記事というのが蔓延している。