本当か?世帯所得と生活習慣の有意性

 厚生労働省が、所得と生活習慣の相関関係について、意欲的な分析をしている。

平成22年国民健康・栄養調査結果の概要

〈所得と生活習慣等に関する状況〉
・世帯の所得が600万円以上の世帯員と比べて、200万円未満、200万円以上〜600万円未満の世帯員は、女性の肥満者、朝食欠食者、運動習慣のない者、現在習慣的に喫煙している者の割合が高く、野菜の摂取量が少なかった

平成22年国民健康・栄養調査結果の概要 |報道発表資料|厚生労働省

 相関(2つの間に関係がある)と因果(原因と結果の関係)は、異なる。統計で相関に意味があるかどうかをある程度いうことができるが、因果を示すことは困難。

 ともあれ、興味深い。

 しかし、生活習慣と関係があるのは、世帯年収、という理解でいいのか。他にも家庭環境を規定するものはいろいろあると思うが。例えば、年齢や学歴、就業の有無状況など。そういったものを比較検討した上での、この分析なのか。

 また、この分析自体、少々、気になる。

世帯所得 200万円未満 ** 200万円以上〜600万円 **
200万円未満 200万円以上〜600万円未満 600万円以上
人数 割合または平均 * 人数 割合または平均 * 人数 割合または平均 *
運動 4.運動習慣のない者の割合 (男性) 302 70.6% 1,050 63.7% 381 62.5%
(女性) 492 72.9% 1,315 72.1% 505 67.7%
* 年齢と世帯員数で調整した値
** 世帯の所得について600万円以上を基準とする多変量解析(割合に関す
る項目はロジスティック回帰、平均値に関する項目は線形回帰)を実施

 ここまで書いているなら、何%有意水準の★なのかは当然示して然るべきものを。

 そして、例えば、女性で言えば、世帯所得別の3つのグループの運動習慣の数字72.9%、72.1%、67.7%。

 何をもって「運動習慣の有無」を定義しているのか。こんな数字の違いで有意性を計れる検定とはどんなものなのか。

 つっこみどころが多い気がする。要、検証。