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共働きと虐待の関係

 こんな見出しのウェブ記事。

共働き家庭ほど虐待は少ない  通説と逆の結果が出た - 被害率最低は鹿児島、最高は大阪。育児の孤立化がリスクになる
日経DUAL 子育て・教育2014.05.09
http://dual.nikkei.co.jp/article.aspx?id=2612

 何だか違和感。

 「共働き家庭ほど虐待は少ない  通説と逆の結果が出た」

っていうことは、通説とは

 「共働き家庭ほど虐待は多い」

ということ?


 両者の関係について、散布図を引用する。

f:id:hottokei:20160515204318p:plain
資料:厚労省福祉行政報告例』(2012年)、総務省『人口推計年報』(2012年)、総務省『就業構造基本調査』(2012年)

  • 共働き世帯率が高い県ほど虐待被害率は低い

 撹乱(かくらん)はありますが、共働き世帯率が高い県ほど虐待被害率が低い傾向がみられます。回帰直線は右下がりです。相関係数は-0.499であり、1%水準で有意であると判定されます。ほう、通説とは逆の結果が出ましたね。

 1%有意 なのですか。それにしたって、絶対値0.5では相関としてはゆるい。

 このグラフ自体、なんだか居心地悪い。

 あてがわれている傾向線が、何だか変。
紫色ゾーンにある5府県を除外して傾向線を描いているような気がする。

 それにこのグラフ、横軸に波線を噛ませることをしておらず、目盛りにおける原点の扱いも危なっかしい。

 グラフを加工させてもらう。それがこれ。

f:id:hottokei:20160515223348p:plain

 傾向線の負の傾きは、たぶんもっと右肩下がりになるようになるのではないか。


 横軸「幼子がいる核家族世帯の共働き率(%)」については、「6歳未満の幼子がいる核家族世帯のうち、夫婦共に就業している『共働き世帯』の比率」であることの説明がある。

 しかし、縦軸「幼児の虐待被害率(1万人当たりの件数)」は、なんなのだろう。その説明が不十分。被虐待者のうちその年齢が学齢未満のものを、学齢年齢未満の推計人口で割ったのだろうか。実は、ここら辺の数字は、利用可能な統計データの定義を厳格に解釈すると入手不能なものが現れてくる。それを押して、データがどのように構成されているのかをキッチリ推測、再現しようとする気力が、今の私には意欲が湧かないので、断念。

 思うのは、共働きと虐待の間には、直接的な関係があるのではなく、両者の間に第三の要因、交絡要因があるのではないか。QoLの高い北陸地方の県は、著者が作った散布図の中野どこにポイントされるものなのか、興味がある。