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「結論」に飛びついてよいのか? "農業者は高齢でも元気"

統計

 こんな見出しの記事を見つけた。

農業者は高齢でも元気 支出額2割少なく 個人医療費を分析 早稲田大学の研究グループ」(2016/4/14 日本農業新聞

 元ネタは、こちら。
早稲田大学持続型食・農・バイオ研究所 - ニュース
16/3/28 実証研究「高齢でも農業者は元気で長寿 -他より少ない農業者一人当たり後期高齢者医療費」
http://www.waseda.jp/prj-sfsabi/20160328seniorfarmer.pdf

 この検証を行っていただいたのが埼玉県本庄市で、県保健医療部及び後期高齢者医療広域連合、本庄早稲田国際リサーチパークの協力を得て実施すること ができた。吉田信解本庄市長に感謝したい。

 その結果は平成 26 年度の 75 歳以上農業者 897 人の医療費が一人平均 73 万 円で、農業者以外の75 歳以上の住民 8,258 人の一人平均 91 万円と比較すると 18 万円という大きな差があることがわかった。

 ( 中略 )

 この要因分析はこれからの仕事で、ガン・心臓・脳内出血の 3 大疾患との関 係や歯科を含む医療費の内容をみることが必要になろう。また農業者の仕事の 内容や食生活などとの関連も分析が求められる。

 今回の検証の方法は、農業者(府県では農地 10 アール以上を耕作する人を農業委員会が農業委員選挙資格を持つと認定した者)のリストから26年4月1日 までに 75 歳に達した方の一覧を農業委員会及び選挙管理委員会から提供いただき、県を通じて医療広域連合に渡し、手間のかかる作業をお願いした。

 なお 25 年度以前の年は、26 年度の農業者リストのみでそのままさかのぼらせ該当者の医療費を取った。26 年度に農業を行っている農業者のみが今回の集 計対象であり、その人達の中で 25 年度ならその時点で 75 歳以上になっている人のみを集計するやり方である。そのため、26 年度より前の年の農業者には、それ以前に農業をやめたり出来なくなっている人達もいるはずだが、今回の集 計には入っていない。これは農業者のリストの関係でやむを得ないものであり、農業に従事していない住民の集計は年次ごと 75 歳以上をすべて集計しているや り方とは異なる。しかしそうした違いを含んでもなお、それ以上の大きな医療費の差になっていることを強調したい。

(文責:堀口健治)

  "農業者は高齢でも元気"という主張、そこで根拠としていて用いられた対象は、要すれば、以下の2つのグループを比較したもの。

 埼玉県の後期高齢者医療被保険者のうち、本庄市在住の75 歳以上の者を対象として、それを本庄市農業委員会の農業委員選挙人名簿に掲載されているか(選挙人)、否か(非選挙人)に分類し、それら2つのグループについて、公的医療費の比較を行った。

 この比較作業について、以下、いくつかの疑問を記す。

  1. 農業委員選挙人が、本当に農業を営んでいるのかどうか。確認が必要あり。: 掲載者だからといって、そのものの土地で現に営農が行われているのか。掲載者は名目上のものであり、実際には当人ではなく当人以外の者が営農していることになってはいないか?
  2. 選挙人と非選挙人との間で、健康寿命状態のコントロールをする必要あり。: 75歳以上の者の中には、健康寿命状態(健康で自立して暮らすことができる)の者とそうではない者とがおり、両者の間では医療費には大きな開きがある。