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「130万円の壁」の高さ。資料の扱いに関する人事院の恣意性

 人事院扶養手当の在り方に関する勉強会。回は、3回目となり、議論が煮詰まってきているようだ。

扶養手当の見直しに関する論点

論点1
 扶養手当の今後の在り方や、現時点で見直しを検討することの意義・必要性についてどのように考えるか。

論点2
 見直しを行う場合、民間企業における実態との関係(民間準拠)をどのように考えるか。

論点3
 配偶者に係る扶養手当について、見直しを具体的に検討することとした場合、どのような対応策が考えられるか。

論点4
 見直しを行う場合、その実施に当たって留意すべき事項、必要となる措置は何か。

 果たして、「130万円の壁」や「103万円の壁」を崩すようなことになっては、いない。結局のところ、官民での間合いを気にしていて、思い切った議論にはなっていない。

論点1
 扶養手当の今後の在り方や、現時点で見直しを検討することの意義・必要性についてどのように考えるか。

  • 女性の社会進出が増加した現代においては、生活保障としての配偶者手当の必要性が従来に比べて相対的に低下しているのではないか。一方で、少子化等への対応の観点から、配偶者以外に係る手当については、必要性が高まっているのではないか。
  • 日本における性別役割分業の実態を踏まえれば、配偶者手当の存在が、結果的に女性の活躍推進を阻害している面は否めないことから、同手当の見直しをすることには一定の意義があるのではないか。
  • 女性の就業調整は、配偶者手当だけではなく、税制や社会保障制度に係る基準も複合的に影響して行われていると考えられ、また、税制等について、どのような時期にどのような見直しが行われるかが不透明な状況にある中においては、女性活躍推進の観点から手当のみ先行して大幅な見直しを行うこ土は、必ずしも滴当ではないのではないか。
  • 配偶者に係る扶養手当について、見直しの検討を行うとしても、現在多くの職員が受給しているという実態を踏まえれば、直ちに廃止といった抜本的な制度の見直しを行うことは難しいのではないか。
  • 民間企業を見ると、配偶者に係る手当だけではなく家族手当制度全体として見直しが行われており、例えば、子育てに係る費用の負担が大きいこと等を踏まえ、子に係る手当を増加させ、配偶者に係る手当を抑えるといった取組が進められている例もみられる。

論点2
 見直しを行う場合、民間企業における実態との関係(民間準拠)をどのように考えるか。

  • 民間準拠というときに、制度の問題と水準の問題があるが、制度の細部においては、必ずしも民間の状況と厳密に対応していない部分もあり、社会情勢の変化等を踏まえ、公務が先行して必要な見直しを行う余地はあるのではないか。
  • 一方で、国家公務員の給与に関しては、民間準拠という原則を踏まえて成り立っているものであり、また、地方公務員や地方の中小企業等に与える影響も考慮すれば、先行するとしても慎重に対応策を考えるべきではないか。

論点3
 配偶者に係る扶養手当について、見直しを具体的に検討することとした場合、どのような対応策が考えられるか。

  1. 配偶者に係る手当の廃止
  2. 支給要件の変更

ア収入要件の変更(現行の130万円から高くする文は低くする)
イ収入要件の廃止(収入にかかわらず支給するようにする)
ウ収入要件以外の要件の設定
エ支給対象職員の限定

  1. 手当額の変更

論点4
 見直しを行う場合、その実施に当たって留意すべき事項、必要となる措置は何か。

  • 民間企業において家族手当の見直しを行う場合には、人件費総額を減らすための手段ではないということを前提に必要な見直しが行われており、仮に、扶養手当を見直すとしても、見直しにより給与原資を減少させないということに留意しつつ検討する必要があるのではないか。
  • 給与原資は維持するとしても、仮に何らかの見直しを行うとすれば、個々の職員で見れば、不利益な変更となる職員も生じるものと考えられることから、激変緩和のための経過措置は必要となるのではないか

 扶養手当や配偶者控除を切った上で、雇用主が支給する児童への手当という代替措置が、今の世に叶う制度設計のはずだが、話がそこにまで進まない。思い切ってモデルを示すためには、政治的決断の必要性が期待される。

 しかし、選挙を前に、そんな冒険を与党が打って出るか。



 ところで、人事院は、この勉強会の資料をPDFでこそウェブにアップしているが、PDFファイルには保護設定を施している。"ポンチ絵"を、一方では文字情報にしていたり(文字列指定してコピー可)、もう一方では画像情報にしていたり(コピー不可)、選択的な扱いをしている。

 オープンガバメント、テキストデータの再利用可能性について、恣意的な裁量が働いている。

 人事院は、どのような意図で、このようなことをしているだろうか...