まだまだ、論点整理の段階 - 経済産業省「クレジットカード産業とビッグデータに関するスタディグループ」

 2015-10-07 - hottokei's diaryで触れた、経済産業省の二つの研究会のうち、片方が報告書を出した。

www.meti.go.jp

 成果物は、51ページもののPDFファイル。内容的には、論点整理。

 こんなこといいな、できたらいいな、という各界からの期待の中に、「家計簿」や「デジタルレシート」という言葉が出る(以下で、赤字は筆者による)。しかし、報告書で、これらの言葉が出てくるのは、事実上この部分だけ。

5.消費インテリジェンスを巡る環境変化と新しい活用の動き

(5) 消費者における活用

【具体的な取組例】
①消費者がそれぞれにカスタマイズされた商品・サービスを選択
・CLO 等のレコメンデーションの活用(これらのサービスは、全消費者に対して画一的に行われる既存の商品プロモーションと異なり、消費者が欲しい商品や特典を自らの選択で適切なタイミングに入手できる)

ライフログ
・クレジットカード利用履歴を活用した効率的な家計簿管理(自動入力機能の利用)
・家計の収入やライフプランを踏まえた節約や資産運用

③リアルタイムの消費動向の情報収集
・データベースからメディアに発信された情報をみて消費の流行を把握
ビッグデータ活用による具体的メリットの例】
デジタルレシート等も含めた各種消費データを統合し、自らの消費の見える化を実現。これにより、個人のライフイメージに沿った家計の収入支出の管理や、自身の興味・関心に合うようカスタマイズされた商品やサービスを享受することが可能に。

 政策課題には、各論として2つが挙げられ、その一つは、データの標準化。特に自動電子家計簿を実現するために、必要なのは、購買商品データの標準化。

7.実現に向けた政策課題について

(2)各論

① データの標準化(スタンダード)

ⅱ.問題意識

<店名、テナント名、チャネル情報、法人ナンバー>
<店舗所在地(郵便番号等)>
<店舗の業種コード、売場情報>
<取引ID>

<購買商品データ>
 購買商品データ(商品情報、個数等)については、加盟店POS 端末にて登録されている商品コードのデータとの連携等を通じて、データが追加される必要がある。

【考えられる利用例】
マーケティング分野
・商品データ等との結合により、「誰に、何が、いつ、どこで、どれくらい、いくらで売れているか」等のリッチな消費インテリジェンスとして、より精緻な各種マーケティング活動が可能。

【データの現状】
・購買商品データは、現在のところクレジットカードデータには存在しない。
・購買商品データは、加盟店に蓄積されるPOS データには存在するが、これを活用する場合は加盟店とのビジネス面含めた連携が必要。
・商品情報、個数、単価等は可変の数値のため、限られた電文データ量の中での対応することは難しい。
・データ量が莫大になるため、クレジットカード会社が仮に保有するとなると、サーバの負担が大きい。

 政策課題として、もう一つの各論としては、「② 個人情報の保護関係(プライバシーへの配慮)」。

 ま、電子家計簿を記帳したい立場のものにとっては、購買商品は自分のものであり、そのデータも自分のものなんだけどな。


 経産省のもう一つの研究会、「流通・物流分野における情報の利活用に関する研究会」についての成果物も出てくるのを待つことにしよう。