行人坂の魔物、誰も調べなかった日本文化史

 江戸時代における国盗り、明治維新における接収について、思いを馳せた。「東京」の、「京都」に対する位置付け。

 人間・後継育成、起業・事業運営・資金繰り(ファイナンス)、また、REITについて考えてみる…

誰も調べなかった日本文化史: 土下座・先生・牛・全裸 (ちくま文庫)

誰も調べなかった日本文化史: 土下座・先生・牛・全裸 (ちくま文庫)

 楽しめる。

 例によって著者のくどい語り口に閉口する口もあるかもしれないが、それを割り引いても、お釣りはある。

 土下座も、銀ブラも、江戸しぐさも、歴史ねつ造としては、同列だとは。(今日、最も気を付けなければいけない偽史は、美しいニッポン、取り戻せニッポンのニッポンだろう。)

 この本の、牛のくだり。江戸時代の江戸で一時隆盛を見た牛車による運送業は、牛を使った運送が独占事業であったことと取り回し性に優れた大八車(人力)に取って代わられたとあった。ところで、ヤバい経済学 [増補改訂版]の序章によれば、かつてのニューヨークでは、馬が路面電車や自動車に取って代わられたという。馬の時代、ニューヨークはその糞に悩まされたという。

 パオロ・マッツァリーノは、牛に関する取材をする中で、牛の糞ネタにも行き当たっただろうに、これは、執筆過程の中で割愛してしまったのだろうか。


 この本に書いてあるオーセンティックボイスという概念。自分で読んでみてそれを実践して効果を生み出せるなら、読者にとってはこの本は価値があるものとなる。

 一方で、参考文献をまったく示していない、という点で、この本は信用できない。

 声で遺伝子修復という説を紹介する下りがあるが、根拠不明。この本が示唆するロシアで研究のことについて、著者が関係するNPO法人ミュージックソムリエ協会音・人・心研究所のサイトを見ても、ことなど紹介していない。ネットを漁ってみると、サウンドセラピー音叉ヒーリングなどを謳うサイトが出てくる。その説は、どうやらSomaEnergetics サウンドセラピー 音叉ヒーリングが紹介するHealing Codes for the Biological Apocalypseが基になるようだ。しかし、1999年刊のこの本に続くものは出てきていない。