国の潮目 - 付加価値の創出主が、雪崩を打って日本を抜け出す。

 日本生産撤退のニュースが、奇しくも、同じ日のリリースで。バイクとテレビ。

05月17日
Honda ニュースリリース > バイク関連ニュース
「スーパーカブ50」をフルモデルチェンジし発売

生産は、中国の新大洲本田摩托有限公司で行い、調達から生産まで効率化を図ることで、メーカー希望小売価格を従来モデルのカスタムタイプ(4速ミッション、セルフ式スターター装備)に比べ48,300円(消費税込み)安く設定することができ、よりお求めやすい価格としました。

05/18付 西日本新聞朝刊 カブ、中国に生産移管 ホンダ

 ホンダは17日、全面改良した「スーパーカブ50」を中国・天津で生産し25日から国内で販売すると発表した。旧モデルは同社の唯一の国内二輪車工場である熊本製作所(熊本県大津町)で製造していたが、今年3月に生産を終え、新モデルから生産を中国に移管。ホンダ創業者の故本田宗一郎氏が開発し、世界最多販売を誇る人気二輪車「カブ」の国内生産は、配達用の一部モデルを除き終了した。

 スーパーカブは1958年発売で、ホンダが成長する原動力になった。

 「スーパーカブ50」の生産移管で熊本製作所での生産はほぼ中大型バイクのみになる。ホンダは「中大型バイク製造工程には人手が必要なため、二輪車部門の人員削減は考えていない」としている。

 中国のオートバイ・メーカーがベトナム向けに「スーパーカブ」模倣品を作っていたのに手を焼いたホンダは、そのメーカーを使って正真正銘のホンダブランドのスーパーカブを製造することに踏み出した、というエピソードを思い出す。*1

 「庇(ひさし)を貸して母屋を取られる」ではなく、その庇に母屋が引っ越したわけである。

 企業と国の関係を、考えさせられる。

 企業にとって、生産資源を育(はぐく)んでくれた国から巣立ちをして、生産資源の調達先としての国を選択するようになった。

 政治・法制度、労働力、資材に関する、国家間競争。

http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/library/pr/pdf/tpr20120517.pdf#page=31

2012年度経営方針説明会
2012年5月17日
代表執行役社長
佐々木則夫

グローバル生産体制構築
最適地生産・調達でコスト競争力・為替対応力強化

デジタル 深谷生産終息(TV生産ライン)(2011)

5月17日 日経 東芝、テレビの国内生産から撤退

 東芝は17日、深谷事業所(埼玉県深谷市)での液晶テレビ生産を完全に停止したことを明らかにした。昨年7月に設計・開発とアフターサービスを主体とする拠点に衣替えしたが、一部の高級機種だけを生産していた。国内のテレビ大手は軒並み赤字に陥っており、日立製作所も国内生産からの撤退を決めた。東芝も国内生産の完全停止でテレビ事業の立て直しを急ぐ。

 深谷事業所は1965年に操業を開始。テレビの主力工場だったが、最近では中国やインドネシア、エジプトなどでの海外生産や台湾企業などへの生産委託を拡充している。2011年度の深谷での生産量は大型の高級機種に限って、数百台程度まで落ち込んでいた。

 昨年7月に拠点の名称を「深谷工場」から「深谷事業所」に変更。生産部門の人員をアフターサービスなどの部門に配置転換しており、雇用は維持している。

 テレビ受信機は、地上デジタル放送移行のためのエコポイントというスーパーチャージャーを得たが、需要の先食いというあおりを食らって、自壊してしまった。

 銀行や流通などの企業だけでなく、中央省庁や自治体までも、合併の波に洗われてもなお、電機業界の企業は部分的な切り出しを図ってきたが、いよいよ、大きな地殻変動が来そうだ。

 日本に、「次の」付加価値を創出する準備はできているのか。

*1:all about Super Cab スーパー・カブのすべて カブ大全35・NEWスーパーカブ110の生産地・中国新大洲本田 | WEB Mr.BIKE NEWスーパーカブ110を一手に生産する世界の工場、中国、新大洲本田「逆転の発想でシェアを奪回」