高速料金「二重取り」混乱 情報システムではなく業務の問題
景気対策のための2008年度第2次補正予算に伴う高速道路料金値下げ措置*1。
鉄道であればJRや私鉄の各社を乗り継ぐごとに改めて運賃を支払うのが常識である。
ところが、景気対策の名の下では、高速料金はこれとは異なる奇妙な料金体系を定義することとなる。すなわち、異なる地方圏高速道路を大都市圏高速道路を経由する形で乗り継ぐと、乗り継いだ先の地方圏高速道路の初乗り料金は発生しない、というものである。
スポニチサイト、1月15日付けから。
高速道路の休日乗り放題 上限千円二重徴収せず
政府は15日、2008年度第二次補正予算案に盛り込んだ、地方圏の高速道路を土日祝日に走行する乗用車の上限1000円乗り放題で、対象外の東京・大阪の大都市圏を通過して高速道を乗り継ぐ場合に、大都市圏の前後で料金を二重徴収しない方針を決めた。
これにより、首都高速など大都市圏内の通行料金が別途徴収される以外は上限1000円での連続走行が可能になり、政府は遠方への行楽の増加などで経済効果が期待できるとしている。
値下げは自動料金収受システム(ETC)を利用する車に限られるため、1万―2万円するETC車載器の購入者に対し、5250円を助成する。
また割引率が未定だった首都、阪神高速の休日料金は三割引きとする。割引日は首都が日曜と祝日、阪神は土日祝日。
これら料金体系の見直しは16日に正式発表し、二次補正予算案の成立後、二年間実施する。
政府は昨年10月に乗り放題とする案を公表。しかし対象を地方圏に限定したため、仙台から東北道を南下し首都高速を含む東京圏経由で東名高速に出るなど、大都市圏を通過する場合について「前後で1000円を2回支払う必要があるのか」との疑問が出ていた。
本州四国連絡橋と東京湾アクアラインも乗り放題の対象外で上限1000円の別料金が必要だが、乗り継ぐ場合は同様に前後の二重徴収はしない。
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20090115119.html
このような形で高速道路の料金の形は決着を見たはずであるが、最近になって、国土交通省、高速道路各社は、高速料金の二重取り問題について説明に追われている。開発した料金収受システムは、地方圏高速道路ごとに初乗りを取ってしまう仕様であったのだ*2。
このことについて、たか氏は、料金収受システムの構築において要件定義の段階の誤りと本質的な指摘をしている(高速料金「1000円」)。
国土交通省は、さみだれ開発、2段階移行を選択した。設計・開発の手戻り、移行の遅延という選択肢は、取らなかったわけである。
*1:本当のきっかけは、昨年言われていたガソリン高騰問題だったはず。このことを、マスコミも政治家も国民も忘れている。
*2:YOMIURI ONLINE3月12日 高速料金の二重取り問題、国交省次官「対応は難しい」 高速道路料金値下げのためのシステム改修が遅れ、一部の高速道路で料金を二重に徴収する問題が生じることについて、国土交通省の春田謙次官は12日の定例記者会見で、「いろいろ議論があると思うが、対応は難しい」と、返還などの措置は取らない意向を示した。 春田次官は、「説明が足りず、反省すべき点があった」と陳謝したうえで、ノンストップ自動料金収受システム(ETC)の必要なプログラムの変更は、4月中に終わるとの見通しを示した。 このため、3月28日の開始予定日から当面は、東京など大都市圏の高速道路を経由して、複数の地方の高速道路を使う場合、地方分の高速料金が「二重取り」となる。