毎日新聞のネット調査は「民意を把握できる」方法か

 4月12日(水)朝刊の毎日新聞に、表紙にこんな文字が。

ネット調査 五輪招致賛成73%  5(第5面)

同記事の本文は、ネット調査結果を説明する記事本文のうち、その半分近くをネット調査の性格の解説に費やしている。その姿勢は称えたい。

<調査の方法>
 3月31日〜4月2日の3日間、gooリサーチのモニターから無作為で選んだ20歳以上の対象者にインターネットで調べ、944人から回答を得た。

約20万人から抽出
毎日新聞社は、NTTレゾナント社が運営するgooリサーチのモニター約20万人から男女・年代別に20歳以上を無作為に抽出し、インターネットによる調査を実施する。ホームページに質問を載せ、回答を選んでもらう手法を用いる。
gooリサーチのモニターは、インターネットを通して公募に応じた人で、全国の有権者の縮図とは言えない。調査は特定のインターネット利用者の声を聞く「アンケート調査」であり、国民の平均値を映し出す「世論調査」とは異なる。
とはいえ、インターネット普及率(総務省推計)は、全人口の60%を超え、20〜49歳では85〜90%の高率に達し、世代間の利用格差も減りつつある。ネットで民意を把握できる時代を迎えようとしており、ネット調査の結果も民意の傾向を表していると言える。

(太字は筆者による。)

 さて、「ネットで民意を把握できる時代を迎えようとして」いるという記事の主張を、このネット調査は保証する形になってはいない。「約20万人」の中から無作為抽出対象者を全体で何人設定した上での944人の回答なのか、すなわち回収率を明らかにしていないのである。

 朝日新聞「土曜be」be between や日経新聞土曜「日経プラス1」3000人委員会では、回収率がわかるようにしているのに対して、この毎日新聞ネット調査は客観性が劣る。

 今一言付け加えれば、今回の毎日新聞ネット調査の中には、地域を選ぶ設問もある。回答者の居住地によって当然バイアスが係ることが想定される。しかし、標本抽出枠として地域という軸の考慮があったかどうか、毎日新聞の説明では明らかにされていない。

◇質問と回答◇
夏季五輪が開かれるならば、どこで開かれるのがよいと思いますか。
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