インターネットから取り残された時代の孤児 東証

 1月18日に処理能力を超えたとして中途の2時40分で売買停止した東京証券取引所

 1月22日asahi.comから。 

東証システム、耐用期限過ぎていた 導入は10年前

 東京証券取引所の異例の全株式売買停止を招いた清算システムは、約10年前に導入したコンピューターを使い、当初の耐用期限は04年後半だったことが分かった。東証は23日からは現行システムでの能力増強、30日には予定されていた新コンピューターによる次期システム移行でしのぐ方針だが、綱渡りの状況は続く。

 東証取引システムは売買と清算に分かれ、今回問題になったのは清算だった。

 次期システム開発は、東証と日立で数年前から進めていたが、04年後半に迎えた耐用期限に間に合わず、その後は現行システムの保守・整備で対応していた。

 昨年10月には、データ移動などでハードディスクの空き容量を増やし、1日の約定処理能力を従来の300万件から現在の450万件へ増強。1日500万件で設計されている次期システム移行まで乗り切れると見込んでいた。

 今回の事態を受け、東証は21、22の両日に現システムをさらに増強するテストを実施。安定性が確認されれば23日から1日500万件の能力で運用する。

 今回の事態を受け、東証は21、22の両日に現システムをさらに増強するテストを実施。安定性が確認されれば23日から1日500万件の能力で運用する。

 30日には次期システムへ移行する予定だが、当初能力では十分な余裕がないとみて、数カ月以内に700万〜800万件まで増強する考えだ。

 18日の売買停止は清算系のシステムに問題があったわけだが、売買系のシステムの問題に起因するのが昨年の月変わり、11月1日に生じた9時から1時半までの売買停止であった。

 http://www.tse.or.jp/news/200510/051011_a.html(10/11)
 http://www.tse.or.jp/news/200511/051107_a.html(11/7)

 日経12月3日の記事(ブログ ネット社会:今日の動き 2005年12月03日「東証、もう一つのシステム問題。」 が採録)では、取引所が証券会社の売買注文の登録通知をしてくるまでの時間(レスポンス・タイム)は、ミリ秒単位の米ナスダックや英ロンドン証券取引所に対して、東証は平均10秒ということを挙げ、日米欧の中で東証の売買処理速度の明白な見劣りを指摘している。

 そして、今回は、売買件数の容量にしても見劣っているということになる。


 再度asahi.comから。

 東証決済管理部によると、現行システムのコンピューターは日立製作所の大型汎用機(メーンフレーム)で、独自開発のソフトを組み込んでいる。清算システムは、処理に先立ち、その日に確定した約定(やくじょう)の全データを売買システムから受け取り、ハードディスクに格納する。

 メーンフレームは動作の安定性や故障しにくさが特徴で、金融機関やチケット予約のシステムにも使われる。日立は「10年以上使うことは珍しくない」というが、システム業界に詳しい大学教授は「増強しながら長く使うものだが、10年前の機種ならやはり古いと思う」と指摘している。

 東証のシステムは、10年の耐用年数の間に、一定の処理能力の拡張性、スケーラビリティがあったかもしれない。そして「次期システム開発は、04年後半に迎えた耐用期限に間に合わず」「30日には次期システムへ移行する予定」(再掲)という。

 ところが当初開発後、ドッグイヤーのスピードで時代は変化した。特に99年頃からの動きであるネット証券や新興市場、そして昨今のデイトレーダーらによる頻繁な売買。

 耐用期限を待たずに更改しておかないと、本来ヤバイものであっただろうに。