「働いている女性のほうがちゃんとご飯を作る」
パラサイト・ワイフなどといった新語を生み出して、最近ちまたで話題の財務省税制調査会の基礎問題小委員会議事録(第37回(平成17年5月27日開催))(この委員会の構成員名簿)。
ちょっと先ほどの委員は誤解していると思うんです。今、専業主婦であれば子供を産むとは限らなくて、逆に専業主婦で何もしないのが多いんです。子供も産まないで。つまり、人生に前向きかどうかというと、働く女の人は前向きで、子供を産みたいわけ。働かないで家でごろごろしている主婦が、子供を今産まないんです。
働いている女性のほうがちゃんとご飯を作るというデータもあるんです。専業主婦で時間がいっぱいある人こそ、コンビニで買ってきた発泡スチロールで食べさせちゃうというのが多いんです。ただ、託児所をいっぱい作ったから子供を産むかというと、それもまた違うんですよ。
そういうことが問題なわけ?
「男は仕事、女は家庭」から
「男は仕事だけ、女は家庭も仕事も」へ
という臭いがしてくる。
議事録では発言者氏名が消されているため、この二つの発言が同一人物によって行われたものかどうかは不明である。
ところで、家庭持ちの働く女性は家庭持ちの働いていない女性よりも家事をするという主張は本当だろうか。このデータは、どこから持ってきているのだろう?信頼できる調査データに裏付けられた議論であればこの議論の信頼度も増すものなのだが、いい加減なネット調査か何かではないか疑問が残る。
実際のところ、平成13年社会生活基本調査(総務省統計局)の−生活時間に関する結果−を見てみると、この委員の主張とは逆の答えが出る。
第3表 曜日,ふだんの就業状態,男女,配偶関係,年齢,行動の種類別総平均時間,行動者平均時間及び行動者率(15歳以上人口) からの抄
行動の種類別有配偶者の総平均時間(週平均1日当たり 単位 時間.分)
仕事 家事 介護・看護 育児 3次活動男 有業者 6.55 0.09 0.01 0.06 5.32
無業者 0.07 0.40 0.04 0.03 10.53女 有業者 4.29 3.05 0.05 0.17 4.56
無業者 0.04 4.19 0.10 0.56 6.59
なお、2つの発言の前者を実証するデータは、国勢調査でも見つからない。*1
*1: 総務省統計局平成12年国勢調査では、夫婦の就業・非就業、子供の有無でクロスした統計表は存在する。(第2次基本集計結果(全国結果) 第16表 世帯の家族類型(3区分),子供の有無・年齢(22区分),夫婦の就業・非就業(4区分)別夫婦のいる一般世帯数及び親族人員(夫・妻とも雇用者並びに夫婦のいる3世代世帯−特掲))
このデータには、子育てを終えたリタイア夫婦も含まれているから、これを子育て世代(生殖年齢にある妻がいる夫婦)に絞り込むために、妻(又は夫)の年齢階級をさらにクロスした統計表があるべきであるが、それが存在しない。