東京都23区内の私大・短大の定員増「認めず」に関する一次情報

平成30年度に開設しようとする大学又は短期大学の収容定員増及び平成31年度に開設しようとする大学又は短期大学の設置の認可の申請に対する審査に関し、大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準の特例を定める件等の公示について(通知)(29文科高第590号 平成29年9月29日)

パブリックコメント:結果公示案件詳細 教育 大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準の一部を改正する告示案に関するパブリックコメント(意見公募手続)の結果について

高齢化が進む日本における 貧困線: 国民生活基礎調査における可処分所得中央値の推移

 貧困分析に関する議論が近年進む中、厚生労働省が6月27日の平成28年国民生活基礎調査の結果が出した。

 厚労省の発表を受けて、大手マスコミは、相対的貧困率が12年ぶりに低下した、「改善」した、という見出しを付けた。

 一方で、Yahoo!ニュース「個人」の、以下の論考記事が面白かった。

湯浅誠が「子どもの貧困率が減った! 何がどう変わったのか」
news.yahoo.co.jp

大西連貧困率は16.1%から15.6%へ改善 一方、悪化した数字も」
news.yahoo.co.jp

 特に、後者の悪化した数字とは、記事中の「中央値(日本社会の真ん中)は18年で43万円減」のこと。

 これは、相対的貧困率の基準である貧困線、その元になった[等化可処分所得]の中央値に着目したもの。

表10 貧困率の年次推移*1*2
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 等化可処分所得の中央値、そのこの1985年から2015年までの30年間の推移を見ると、1997年の297万円*3まで毎回上昇していた。しかし、それ以降は、毎回減少に転じ、2012年は 244万円となっている。そして2015年の数字は、 245万円。1万円増加であるが、この程度では下げ止まったくらいにしか評価ができないだろう。

 この数字を観察して、大西連は、以下のように綴る。

 短期的には貧困率はやや改善しましたが、1990年代の後半から現在までに、所得の低い人たちが急速に増加していることがわかります。

 貧困ライン自体が122万円と、「相対的貧困」でありながらこの金額では生存が厳しい「絶対的貧困」に近づいていることも大きな問題です。

 確かに大きな問題である。

 ただ、人口の年齢構成にも目を配っておこう。

 総務省統計局の人口推計によれば、年少人口、生産年齢人口、高齢者人口の3区分(15歳、65歳で区切る)の割合で3年ごとに見ると、全体に占める生産年齢人口は、1991年の 70% をピークに減少に転じ、2012年は 63%、2015年は 61%となっている。

 逆に増加しているのは、日本の高齢化に伴って就労所得よりも年金に依存する人口(世帯)。このことに留意しなければならない。

 貧困線の設定に用いる可処分所得について、人口の27%に当たる高齢者人口(人口推計)のことを含めるべきなのかどうか。厳密には、高齢者のみからなる世帯(13252千世帯。世帯全体(49945千世帯)のうち、26%(平成28年国民生活基礎調査)。

 実際、全体に占める年金暮らし世帯の割合が増えたことで、貧困線は下がり、その下がった貧困線未満の世帯比率が低下したという要素は大きいであろう(高齢者であっても、企業役員を続けて、勝ち組な人はいるだろうが、それは一握りである)。今の定義のままの「相対的貧困率」の数字は下がったとしても、社会的な課題としての貧困問題の改善、解決と結論づけることはできるものではない。

 特に、子どもの貧困を評価するための貧困線には、現役世代の可処分所得、子育て世帯の可処分所得について検討するなど、きめ細かい評価が必要であろう。

 このように、日本の高齢化は、これまでの統計データの見方、扱い方を吟味する必要があるかもしれない。

 それは、完全失業率が3.1%と悪化する一方で、有効求人倍率が1.49倍と43年3カ月ぶり高水準となった労働市場について考える際にも、同じことが言えるであろう。

 国立社会保障・人口問題研究所が4月10日に公表した将来人口推計(2015年国勢調査(総務省統計局)に基づく)によれば*4、生産年齢人口比率は、2016年 60.3%、2017年 59.9%*5

 2038年には、55%を初めて割り込み 54.9%。

 2049年以降は 21%台を這っていくこととなる。

1985 1988 1991 1994 1997 2000 2003 2006 2009 2012 2015
相対的貧困率(%) 12.0 13.2 13.5 13.8 14.6 15.3 14.9 15.7 16.0 16.1 15.6
子どもの貧困率(%) 10.9 12.9 12.8 12.2 13.4 14.4 13.7 14.2 15.7 16.3 13.9
子どもがいる現役世帯(%) 10.3 11.9 11.7 11.3 12.2 13.0 12.5 12.2 14.6 15.1 12.9
大人が一人(%) 54.5 51.4 50.1 53.5 63.1 58.2 58.7 54.3 50.8 54.6 50.8
大人が二人以上(%) 9.6 11.1 10.8 10.2 10.8 11.5 10.5 10.2 12.7 12.4 10.7
中央値(a)(万円) 216 227 270 289 297 274 260 254 250 244 245
貧困線(a/2)万円) 108 114 135 144 149 137 130 127 125 122 122

  • 参考 年齢3区分別 人口(「人口推計」(総務省統計局)*6

1985 1988 1991 1994 1997 2000 2000 2003 2006 2009 2012 2015
15歳未満(千人) 26,042 23,985 21,904 20,415 19,366 18,505 18,505 17,905 17,435 17,011 16,547 15,945
15~64歳(千人) 82,535 85,013 86,557 87,034 87,042 86,380 86,380 85,404 83,731 81,493 80,175 77,282
65歳以上(千人) 12,472 13,785 15,582 17,585 19,758 22,041 22,041 24,311 26,604 29,005 30,793 33,868
15歳未満(%) 21.51 19.53 17.66 16.33 15.35 14.58 14.58 14.03 13.65 13.34 12.98 12.55
15~64歳(%) 68.18 69.24 69.78 69.61 68.99 68.06 68.06 66.92 65.53 63.91 62.87 60.81
65歳以上(%) 10.30 11.23 12.56 14.06 15.66 17.36 17.36 19.05 20.82 22.75 24.15 26.65

 厚労省は、PDF解説文に含まれている統計表を、編集可能なExcelで提供することを、以前から行っていて、ありがたい。
 もう一歩進めて、統計データの年次の標記は、西暦にしてほしい。元号ではなく。統計データ利用にも、元号の社会的コスト。
 2016年国民生活基礎調査がその調査で調査世帯に尋ねているのは、前年一年間の可処分所得、すなわち2015年のものであることに、注意。このことを理解する際には、まず、厚労省資料の元号を、西暦に直して考えなければならない。

*1:厚労省の「平成28年 国民生活基礎調査の概況」の結果の概要 その「II 各種世帯の所得等の状況」http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/03.pdf#page=6(PDF 211KB の 6/8ページ )の「表10 貧困率の年次推移」をスクリーンキャプチャ

*2: Excelファイルでは、「平成28年 国民生活基礎調査の概況」の結果の概要、そこの http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/xls/10.xls 「所得に関する図表を、xls形式でダウンロードできます。」EXCEL 257KB のワークシート「Ⅱ-表10」で得られる。

*3:大西連記事では298万円と記されていたが、厚労省の表10では297万円である。

*4:出生中位(死亡中位)推計(平成29年推計)

*5:最新の人口推計(総務省統計局)によれば、2017年5月速報値で 60.03% ( = 7608 / 12674)

*6:IV. 長期時系列データから、e-Statの「長期時系列データ(平成12年~27年)」の表3 及び 「我が国の推計人口(大正9年~平成12年)」の表3 を合成

経済分析力

日経24日朝刊から。

データ独占防止 悩む日欧当局 
強さ増す巨大ネット企業 競争の物差し見直し (引用)


 昨年8月に公取委がアマゾンに調査に入って以降、両者は水面下で激しい攻防を繰り広げた。公取委はEC市場の覇者であるアマゾンがあらゆる出品者に最低価格を強要すれば、ライバル企業の市場参入が阻害されると主張。

 対するアマゾンは「最低価格保証は競争を害さず促進する効果がある」と真っ向から反論。膨大なデータを統計的に裏付けるリポートを公取委に提出し正当性を訴えた。

 公取委側も理論武装のために今年1月、経済学の学位を持つ専門職員らによるデータ分析の専門部隊を創設した。公取委の中島秀夫事務総長は「経済のデジタル化が進むなか、より客観的に競争への影響を分析する能力が必要だ」と話す。

元号の社会的コスト。改めて。

 将来起こりうる改元の際には、日付管理に関する情報システムの更改が社会的課題になる、とここで記したのは、5年前

 そのシステム更改の要件定義において、平成に続く新しい元号を取り込む形を事務処理体系を組むべきかどうか、一貫して西暦で扱うか、今から考えておいた方がよい、とも書いた。

 果たして。

 総務省マイナンバーカードに改元の影響が出るかシステムを確認中だ。生年月日のデータに元号を使用しているためで「新たな元号で生まれた人のデータを追加する際にシステム改修が必要なのか、設定変更で済むのかを洗い出している」(住民制度課)という。

【引用は、右記事から: 日経電子版11日付け(有料会員限定)「改元へ官民始動 カレンダーやマイナンバー対応急ぐ」】
www.nikkei.com

 下を見てほしい。平成26年=2014年と並行表記、なんなんですかね。

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 週刊東洋経済が「文書は最低西暦を併記、統計からは元号一掃を」(シニアライター:福永 宏)を掲載したのも、5年前だった。

toyokeizai.net

 元号をいつも正確に処理できる、という前提は、取り下げておいた方がよい。元号誤認による社会的混乱は、笑い話ではなく、渡航先の空港で入国拒否という被害までも出ている。

「そもそも」辞書問題に関する閣議決定

 フェイクニュース fake news、ポストトゥルース post truth ...

平成二十九年四月二十五日提出
質問第二六四号

「そもそも」の意味として「基本的に」と記載している辞書に関する質問主意書 提出者  初鹿明博


 安倍総理は、本年四月十九日の法務委員会で、「そもそもという言葉の意味について、(中略)念のために調べてみたわけでありますが、これは基本的にという意味もある」と答弁している。

一 現在出版されている複数の辞書を調べたが、「そもそも」の意味として「基本的に」との記載がある辞書は存在しなかったが、本当に調べたのか。

二 調べている場合、安倍総理が調べた「そもそも」の意味として「基本的に」との記載がある辞書の辞書名、出版社名及び出版年を示されたい。

 右質問する。

  内閣衆質一九三第二六四号
  平成二十九年五月十二日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員初鹿明博君提出「そもそも」の意味として「基本的に」と記載している辞書に関する質問に対する答弁書

一及び二について
 例えば、平成十八年に株式会社三省堂が発行した「大辞林(第三版)」には、「そもそも」について、「(物事の)最初。起こり。どだい。」等と記述され、また、この「どだい」について、「物事の基礎。もとい。基本。」等と記述されていると承知している。

平成二十九年五月十六日提出
質問第三一三号

安倍総理が実際に「そもそも」を大辞林で調べたのかに関する質問主意書 提出者  初鹿明博

 先の答弁書(平成二十九年五月十二日内閣衆質一九三第二六四号)では、「『大辞林(第三版)』には、『そもそも』について、『(物事の)最初。起こり。どだい。』等と記述され、また、この『どだい』について、『物事の基礎。もとい。基本。』等と記述されている」と示されたが、安倍総理が実際に辞書を調べたのかについての言及はされていない。

 そこで、改めて伺うが、「大辞林(第三版)」を使って「そもそも」を調べ、その意味として記述があった「どだい」を調べたのは安倍総理自身なのか。

 それとも、実際に辞書を調べたのは安倍総理自身ではなく、本年四月十九日の衆議院法務委員会で、安倍総理が、「そもそもという言葉の意味について、(中略)念のために調べてみたわけでありますが、これは基本的にという意味もある」と答弁するための資料を作成した職員なのか。そうであれば、当該資料に具体的にどのような記載があったのかを明らかにされたい。
 右質問する。

  内閣衆質一九三第三一三号
  平成二十九年五月二十六日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 麻生太郎

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員初鹿明博君提出安倍総理が実際に「そもそも」を大辞林で調べたのかに関する質問に対する答弁書
 お尋ねの「答弁するための資料を作成した職員」の意味するところが必ずしも明らかでないため、当該「職員」に関するお尋ねについては、お答えすることは困難であるが、安倍内閣総理大臣が自ら御指摘の「大辞林(第三版)」を引いて「そもそも」及び「どだい」の意味を調べたものではない。

基盤地図情報ビューアで、エクスポートしようとすると、プログラムが固まる。

 国土地理院基盤地図情報GMLファイルを、SHAPEファイルに変換してくれる基盤地図情報ビューアのエクスポート機能。

 そこで、エクスポートしようとしても、ビューアが途中で固まってダメになってしまう。

 どうするか。もし「変換する要素」のチェックボックスを複数まとめて付けていたら、それをあきあらめて、一つひとつばら売りしながらエクスポートとすると、とりあえず変換作業はできる。手間はかかるけれど、何も変換できないよりは、まし。

世界の子供の貧困 3億8500万人、その情報源は89ヶ国からの調査

子どもの貧困:3億8,500万人が極度の貧困-ユニセフ・世銀が発表。子どもの貧困率はおとなの2倍|日本ユニセフ協会|プレスリリース

子どもの貧困 3億8,500万人が極度の貧困
ユニセフ・世銀が発表 子どもの貧困率はおとなの2倍

 今回の極度の貧困下で暮らす子どもたちの数字は、開発途上国・地域の人口の84%を占める、89カ国のデータをもとに推定されたものです。

 89ヶ国を地図に表したのは、 以下のPDFのFigure 2。
http://www.unicef.org/publications/files/Ending_Extreme_Poverty_A_Focus_on_Children_Oct_2016.pdf

 日本、韓国、タイ、豪、アメリカ、カナダ、欧州主要各国は、NO DATAになっていることに注意。それでも、対象地域は、世界人口の84%をカバー、としている。

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 詳細な論文はこちらから。

Policy Research Working Paper 7845
New Estimates of Extreme Poverty for Children
David Newhouse Pablo Suarez-Becerra Martin C. Evans with Data for Goals Group
http://documents.worldbank.org/curated/en/402511475417572525/pdf/WPS7845.pdf

 22ページ目にある付録には、Global Micro Databaseについて触れられている。参照時点は2013年とされていたところ、実は完全に揃っているわけでもないことが、この表からわかる。

Appendix 1: Data and Statistical Appendix

Sample

The study uses a sample of 104 surveys from the September 2016 vintage of the Global Micro Database (GMD); only surveys between 2009 and 2014 are selected. The sample is composed of 89 developing countries. The GMD sample is lined up to represent the estimates of extreme poverty in 2013. When a survey of 2013 is unavailable, two surveys are selected, one before and one after 2013, and their results are weighted according to the relative distance to 2013 (Castañeda et al, 2016); if only surveys before 2013 are available, we use the latest available. The countries and years selected are showed in Table A1.
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