そこじゃない、と一瞬思ったけれど、…

 「男女共同参画・女性活躍の推進に向けた重点取組事項について」(平成28年5月13日 男女共同参画会議

 …来年度予算等に反映することにより重点的に進めるべき具体策について、男女共同参画社会基本法第22条第3号に基づき、内閣総理大臣及び関係各大臣に対し、以下の取組を求める。

<旧姓の通称としての使用の拡大>
内閣総理大臣内閣府特命担当大臣男女共同参画))、総務大臣外務大臣、全大臣】

 社会において、旧姓を通称として使用しながら活動する女性が増加している中、様々な活動の場面で旧姓を通称としてより使用しやすくなるよう、制度の周知を含め、通称使用の拡大の取組を進めるべきである。

 このため、住民基本台帳法施行令等を改正し、住民基本台帳及びそれに連動するマイナンバーカードに本人からの届出により旧姓を併記することが可能となるよう、速やかに必要な準備を進めるとともに、国際的身分証明書であるパスポートについて、既に一部認められている旧姓併記の条件緩和の可能性につき検討すべきである。

 また、国家公務員の旧姓使用が可能となる範囲の拡大を検討するとともに、地方公務員が旧姓使用しやすくなるよう地方公共団体に働きかけるべきである。

 さらに、通称使用の実態、公的証明書や各種国家資格制度における現状と課題について調査検討を行い、その結果を踏まえ、企業や団体等への働きかけを含め、必要な取組を進めるべきである。

 旧姓通称使用の拡大を推し進めるということは、夫婦同姓を是認してるだけでは。

 こないだの最高裁における判決理由を踏まえれば、もっと、別のことを言えたはず。(以下、着色は筆者による)

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/546/085546_hanrei.pdf

平成26年(オ)第1023号 損害賠償請求事件
平成27年12月16日 大法廷判決

主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

理 由
上告代理人榊原富士子ほかの上告理由について

第1 事案の概要
1 本件は,上告人らが,夫婦が婚姻の際に定めるところに従い夫又は妻の氏を称すると定める民法750条の規定(以下「本件規定」という。)憲法13条,14条1項,24条1項及び2項等に違反すると主張し,本件規定を改廃する立法措置をとらないという立法不作為の違法を理由に,被上告人に対し,国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求める事案である。

4 以上の観点から,本件規定の憲法24条適合性について検討する。

(1)…したがって,本件規定は,憲法24条に違反するものではない

(2) なお,論旨には,夫婦同氏制を規制と捉えた上,これよりも規制の程度の小さい氏に係る制度(例えば,夫婦別氏を希望する者にこれを可能とするいわゆる選択的夫婦別氏制)を採る余地がある点についての指摘をする部分があるところ,上記(1)の判断は,そのような制度に合理性がないと断ずるものではない。上記のとおり,夫婦同氏制の採用については,嫡出子の仕組みなどの婚姻制度や氏の在り方に対する社会の受け止め方に依拠するところが少なくなく,この点の状況に関する判断を含め,この種の制度の在り方は,国会で論ぜられ,判断されるべき事柄にほかならないというべきである。

 ところが、ハタと気が付いた。

 男女共同参画会議は、行政、でした。行政は、立法の下で仕事をする、のでした。

役所の英語、中国語

 朝日新聞4月27日[http://digital.asahi.com/articles/ASJ4T5DB4J4TUTIL04W.html?_requesturl=articles%2FASJ4T5DB4J4TUTIL04W.html:title=文科省「グローバル大」構想に不満続々 「まるで詐欺」
]の記事の中で、その不満の一つとして、和文と英文のちぐはぐさが言われていた(以下、着色は筆者による)

 大学の国際競争力強化を狙った「スーパーグローバル大学」(SGU)構想。文部科学省の肝いりで始まったが、選ばれた大
学が不満を募らせている。国の支援が想定より少ない上、予定していなかった仕事も次々発生しているからだ。

(中略)

 各大学に昨秋、文科省からメールが届いた。会議やシンポジウムでは、「SGU」ではなく正式名称を使うようにとの内容だった。札幌学院大が「SGU」を商標登録しており、「SGUを使用した場合、商標権を侵害」と書かれていた。東日本の大学の担当者は「印刷物を刷り直すはめになった。完全に余計な出費。最初に調べておいてほしい」と怒る。

 さらに、文科省の定める英語での呼称は「トップグローバル」大学。「スーパーグローバル」は英語では普通は使わない表現だからだ。西日本の大学の担当者は「なんで国内向けはわざわざ妙な名前にするのか。海外向けに翻訳する際、直す手間がバカにならない」とあきれる。

 テレビ番組で英会話講師を務める鳥飼玖美子・中央教育研究所理事は「英語では、『グローバル市民』なら国連などでも使っているが、『スーパーグローバル』なんて言い方はしない。『トップグローバル大学』と言えないことはないが、あまり聞かない」。事業自体についても、「そもそも海外ではグローバル人材という概念がないし、グローバル化は否定的にとらえられることもある。グローバル人材育成という発想が、グローバルでない」と指摘する。

 日本学術振興会のページを見ると、なるほど。

f:id:hottokei:20160515193122j:plain

スーパーグローバル大学創成支援
Top Global University Project

 他にもこのような話はあって。

一億総活躍担当
Minister for Promoting Dynamic Engagement of All Citizens
一亿总活跃担当

内閣府特命担当大臣(地方創生)
Minister in charge of Overcoming Population Decline and Vitalizing Local Economy in Japan
地方创生担当

 中国語は、漢字はそのまんま。
それでは、カタカナ語はどう?へえ、そう書くんだ。

クールジャパン戦略
Minister in charge of "Cool Japan" Strategy
“酷日本”战略担当

ダブルケア人口の推計基データ

 ダブルケアに関して、25万人いる、と推計したとされる内閣府。その元ネタは、男女共同参画局の「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書」によるもの。

http://www.gender.go.jp/research/kenkyu/wcare_research.html

内閣府委託調査
平成 27 年度 育児と介護のダブルケアの実態に関する調査 報告書
平成28年3月
株式会社 NTT NTTデータ経営研究所

3. ダブルケア人口・世帯の推計

3.1. ダブルケア人口・世帯の推計方法

 育児と介護を同時に行うダブルケアを行う世帯・人口の推計は、総務省「就業構造基本調査」(平成 24 年)及び国民生活基礎調査(世帯票、平成 13 年、平成 19 年、平成 25 年)の個票を用いて推計を行 った。

 就業構造基本調査では、初めて育児ならびに介護に関する設問が付加された平成 24 年調査の個票デ ータを基に、ダブルケア人口を推計するとともに、その基本属性、就業状況について集計を行った。

 国民生活基礎調査(世帯票)では、ダブルケアを行う世帯数の推計を行うとともに、被介護者の状況等、就業構造基本調査では把握できないダブルケアを行う世帯を取り巻く実態について集計を行った。 更に、推計にあたっては、平成 13 年、平成 19 年、平成 25 年の経年比較を行った。

 就業構造基本調査と国民生活基礎調査(世帯票)の違いは、前者は、サンプル100万人を対象に人口(個人)を、後者は、サンプル30万世帯を対象に世帯を、それぞれ推計したもの、ということ。

資料源をたどれない記事は、ただの吊りだ。

 読売オンライン地域版だけが報じている、以下の記事。

「前向き感情で認知症減」 長寿研、4年間追跡
2016年04月16日
 幸福感や満足感など、前向きな感情を強く持つ人ほど、認知症になるリスクが減る――。国立長寿医療研究センター大府市)が15日、県内の6自治体に住む65歳以上の高齢者を対象にした研究結果を発表した。
 同センターは2003年に、「普段は気分が良いですか」「自分は幸せなほうだと思いますか」など前向きな感情を尋ねる5項目の調査(回答率52・6%)を実施。回答を得た約1万4000人のその後の4年間を追跡調査し、認知症の発症の有無と、前向きな感情との関連を調べた。

 その結果、認知症を発症した約800人と発症しなかった残りの回答者との調査時の回答を分析したところ、前向きな感情を尋ねた質問で「はい」と答えた割合が高い人ほど認知症になるリスクは減った。5項目全てに「はい」と答えた高齢者は、「はい」と答えた項目がゼロだった高齢者と比べて、認知症になるリスクが、男性で約50%、女性で約70%も減っていた。おおよそ「はい」の項目が一つ増えるごとに、リスクは21~13%減少していたという。

 長寿研が15日発表、とあるが、長寿研サイトを訪ねてもそんなリリースは見当たらない。

 発表の事実を確認できないし、記事の中身の検証もできない。

 成果還元、発信が、中途半端な研究独法

都道府県を凌駕する市区; 人口(9市区)と面積(1市)

 2015年国勢調査(人口集計速報)(総務省統計局)第1表*1によれば、鳥取県の人口は573,648。

 これを上回る人口を有する市区町村は、9市区もある。: 世田谷区、練馬区大田区江戸川区、足立区、船橋市鹿児島市川口市、八王子市

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 平成27年全国都道府県市区町村別の面積(国土地理院*2によれば、高山市の面積は、2,177.61km。

 これを下回る面積の都道府県は、2府県。:香川県大阪府

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「結論」に飛びついてよいのか? "農業者は高齢でも元気"

 こんな見出しの記事を見つけた。

農業者は高齢でも元気 支出額2割少なく 個人医療費を分析 早稲田大学の研究グループ」(2016/4/14 日本農業新聞

 元ネタは、こちら。
早稲田大学持続型食・農・バイオ研究所 - ニュース
16/3/28 実証研究「高齢でも農業者は元気で長寿 -他より少ない農業者一人当たり後期高齢者医療費」
http://www.waseda.jp/prj-sfsabi/20160328seniorfarmer.pdf

 この検証を行っていただいたのが埼玉県本庄市で、県保健医療部及び後期高齢者医療広域連合、本庄早稲田国際リサーチパークの協力を得て実施すること ができた。吉田信解本庄市長に感謝したい。

 その結果は平成 26 年度の 75 歳以上農業者 897 人の医療費が一人平均 73 万 円で、農業者以外の75 歳以上の住民 8,258 人の一人平均 91 万円と比較すると 18 万円という大きな差があることがわかった。

 ( 中略 )

 この要因分析はこれからの仕事で、ガン・心臓・脳内出血の 3 大疾患との関 係や歯科を含む医療費の内容をみることが必要になろう。また農業者の仕事の 内容や食生活などとの関連も分析が求められる。

 今回の検証の方法は、農業者(府県では農地 10 アール以上を耕作する人を農業委員会が農業委員選挙資格を持つと認定した者)のリストから26年4月1日 までに 75 歳に達した方の一覧を農業委員会及び選挙管理委員会から提供いただき、県を通じて医療広域連合に渡し、手間のかかる作業をお願いした。

 なお 25 年度以前の年は、26 年度の農業者リストのみでそのままさかのぼらせ該当者の医療費を取った。26 年度に農業を行っている農業者のみが今回の集 計対象であり、その人達の中で 25 年度ならその時点で 75 歳以上になっている人のみを集計するやり方である。そのため、26 年度より前の年の農業者には、それ以前に農業をやめたり出来なくなっている人達もいるはずだが、今回の集 計には入っていない。これは農業者のリストの関係でやむを得ないものであり、農業に従事していない住民の集計は年次ごと 75 歳以上をすべて集計しているや り方とは異なる。しかしそうした違いを含んでもなお、それ以上の大きな医療費の差になっていることを強調したい。

(文責:堀口健治)

  "農業者は高齢でも元気"という主張、そこで根拠としていて用いられた対象は、要すれば、以下の2つのグループを比較したもの。

 埼玉県の後期高齢者医療被保険者のうち、本庄市在住の75 歳以上の者を対象として、それを本庄市農業委員会の農業委員選挙人名簿に掲載されているか(選挙人)、否か(非選挙人)に分類し、それら2つのグループについて、公的医療費の比較を行った。

 この比較作業について、以下、いくつかの疑問を記す。

  1. 農業委員選挙人が、本当に農業を営んでいるのかどうか。確認が必要あり。: 掲載者だからといって、そのものの土地で現に営農が行われているのか。掲載者は名目上のものであり、実際には当人ではなく当人以外の者が営農していることになってはいないか?
  2. 選挙人と非選挙人との間で、健康寿命状態のコントロールをする必要あり。: 75歳以上の者の中には、健康寿命状態(健康で自立して暮らすことができる)の者とそうではない者とがおり、両者の間では医療費には大きな開きがある。

「便所の落書き」から「ネットの声」へ

自民党 ネット上の声分析する新組織設置 NHKニュース 4月3日 4時40分

 自民党はインターネット上に投稿された意見をくみ取る態勢を整えようと、社会的に関心の高い出来事や政府・与党の政策などに関連する、ネット上の投稿を分析するための新たな組織を設けました。

 子どもを保育園に預けられなかったという人が、「保育園落ちた日本死ね」などと、匿名で不満を書き込んだブログをきっかけに、国会では待機児童問題を巡る議論が活発になり、政府が緊急対策を発表することになりました。

 これを踏まえ、自民党はブログやツイッターなどインターネット上に投稿された意見をくみ取る態勢を整えようと、ネット上の投稿を集めて分析するための新たな組織を設けました。この組織では、関心の高い出来事や政府・与党の政策などに関するキーワードを、1か月ごとに設定し、関連する投稿を集めて内容を分析することにしています。

 自民党は集められた投稿をもとに、有権者の不満や誤解をできるだけ早く把握し、今後の政策に反映させることにしているほか、国会での議員の質問などにも生かしていくことにしています。